大橋:
ただ、これからは変わってくると思うんですけど。
──大橋先生はAWS【※】を使っておられるんですよね?
※AmazonWebServicesの略称。Amazon.comにより提供されているクラウドコンピューティングサービス。
大橋:
僕はアンペア問題があったので、山口祐【※】さんに教わってまずはクラウドにしました。使ううちにそれに慣れてしまったことと……あと、そっち方面の知識が増えて、楽しくなってしまって(笑)。
※囲碁AI開発者。世界電脳囲碁オープン戦2位の『AQ』を開発。囲碁AI『GLOBIS-AQZ』の開発プロジェクトの発足人でもある。
──AMI【※】を使って、複数のソフトを動かしておられるとか。ご説明いただいてもよろしいですか?
※どのようなOSやプログラムを使うか事前に設定しておける仕組み。
大橋:
AWSの中で仮想マシンを組んで、それでソフトを動かしています。ここはエンジニアさんや詳しい方に教わりながらですね。僕はAWSですが、GCP(Google Cloud Platform)を使っている棋士もいて。クラウドなので、性能のいいマシンと簡単につなげることができて楽しいのです。
──けど、お高いんでしょう?
大橋:
値段はスペック次第ですね。自分で購入する場合はがんばっても2枚差しが限度だと思うんですけど……。
──クラウドなら、電力を気にせずさらに高性能を実現できると。最新の囲碁AIを快適に使おうと思ったら、もっと必要なんですか?
大橋:
囲碁AIの大会だと、GPUを8枚使うとか。
──おお~!
大橋:
そのくらいが普通なんです。私もたまに重課金兵になって、4枚差しとか8枚差しとかを実験的に使ってみてるんですけど、これが楽しいです。探索が速いとアドレナリンがでてくる気がします(笑)。
──ウェブ上のサービスだと、家庭では試せないスペックもできちゃうんですね!
大橋:
僕は『GLOBIS-AQZ』の開発チームに入っていたこともあって、大会のスペックというのを肌で感じてしまっていて……クラウドだと、それがすぐに使えるので。毎日それやったら破産しちゃうんですけど(苦笑)。