──難しい(笑)。将棋界ではまだあまり聞かない言葉ですが、ディープラーニングが普及すれば使われるようになるんですかね?
大橋:
ブロック数は大事ですね。ブロックが少ないと探索が速いので、時間あたりで強さを比較するわけです。
探索は遅くなりますが、40ブロックを強化していけば、20ブロックよりも強くなるケースがほとんどです。
──話が少しそれましたが……ディープラーニングという手法にも、限界のようなものがあるんですね。
大橋:
AIが神の領域に行けば、人間の手助けは全く必要ないと思います。ただ、まだ人間が手助けしてあげたほうが強くなるということは――。
──逆説的ではありますけど、まだコンピューターが完璧な存在ではないという証明のような気がしますね。
囲碁AIが人類に与えた影響
──将棋AIは、今年の5月に世界大会が開かれるんですが、そこではディープラーニング系のソフトがレーティング5000くらいになって上位を席巻するのではと予想されています。
大橋:
おお~!
──ただ、そこまで強くなってもたとえば序盤戦術などでは変化がないんじゃないかと開発者さんがおっしゃってたり……囲碁は序盤からもう、ものすごい変化があったわけですか?
大橋:
そうですねぇ……違うと言われているのは、星に対してすぐに三々に入る――。
──ダイレクト三々というやつですか?
大橋:
はい。それが最も違う……と、言われているんですが。
──が?
大橋:
似てる、と捉えることもできるかなと。
──それは……何に似ているんですか?
大橋:
人間とAIが似ている……つまり今の囲碁AIって、どれも布石は星と小目だけなんですよ。将棋ソフトがみんな居飛車を指すみたいに。天元を打つAIって、人間がプログラムをしてやらないと、存在しない。みんな隅の星と小目に行き着いてしまう。
──星は、まさしく碁盤の隅にある黒い点。小目はその隣ですね(隅に近い2箇所)。天元は盤の真ん中の星で、ヒカルの碁だと初手で天元に打つと、打たれた方はみんな怒る(笑)。