1ページ目から読む
17/30ページ目

 けど、『これは1目差だけど70%なのか~』とか『これたくさん石を取れるけど……70%しかないんだ!?』とか。

──それは……どっちの70%を選びやすいんですか?

大橋:
 状況によりますね。たくさん石が取れる場合でも、一手も間違えずに打ち続けた結果、相手の石を取ることで勝てる……みたいな場合もありますから。一手でも間違えれば評価がガクンと落ちたり。

ADVERTISEMENT

──なるほど。1目差の場合でも、そんなに紛れがなく勝てるのであれば、むしろ安全という場合もあるんですね。そこは将棋とも変わらない……。

大橋:
 いわゆる『評価値ディストピア』ですね(笑)。将棋ソフトでも、数字とパーセンテージを組み合わせたらより強くなる……なんてことも、ありそうですけどね。

 囲碁で言う目数を将棋に置き換えて考えると……例えば短手数勝ちを目指す光速の寄せに特化したAIとかどうでしょう。

──なるほど……。

大橋:
 あと、ゼロタイプのディープラーニングはコストがめちゃくちゃかかるんです! だから将棋AI開発者のみなさんに効率のいい方法を考えてもらって、それを囲碁にも応用できたらなとか思ってるんですけど(笑)。

──コスト……というのは、開発にお金がどのくらいかかるかということでしょうか?

大橋:
 アルファ碁を開発したディープマインドという会社は、開発のためにGoogleからサーバーを借りていて、その金額は3500万ドル! という記事を読んでびっくりしました。

──え? 1ドル110円として……およそ40億円!? ええー!? ディープラーニングでの開発って、そんなにかかるんですか……?

大橋:
 とにかく資源が莫大なので。アルファ碁ゼロでいうと、TPUを2000基。Facebookも、『エルフ(ELF Open Go)』というAIを作るためにGPUを2000基使いました。僕たちがGLOBIS-AQZを作ってるときも1000基くらい使っていたんです。