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──1000!! そ、そんなに必要なんですか……?

大橋:
 1000基って、日本でできるところもほとんどないくらいで……。

──では、海外のクラウドを利用して開発していたんですか?

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大橋:
 いえ。産総研(産業技術総合研究所。経済産業省所管の公的研究機関で、1000億円程度の予算を持つ日本最大規模の国立研究開発法人)です。大規模AIクラウド計算システムの『ABCI』を使わせていただきました。

(画像は「AIST: 産業技術総合研究所」より)

──産総研のABCI……ふむふむ、2018年時点で世界5位の性能を持つ大規模クラウド型計算システムですか。高性能のGPUを4352基も搭載していると……こんなものが日本にもあったんですね!

大橋:
 V100という当時最高のGPUが4000基以上もある環境で、約1年ほど使わせてもらいました。我々は最大時で1000基ほど使わせてもらっていて、ありがたかったですね。

 ただ、そのGLOBIS-AQZの開発も、今はストップしています。今、日本では企業が主体になった大規模な開発は行われていなくて、将棋のように個人の開発者の方々の努力に頼っている状態です。

 開発者の方々と話していると、いろいろと技術の話で盛り上がるんですが、最後には『日本、大丈夫か!?』となってしまうのが定石で……(苦笑)。

──しかもそうやって作ったソフトより絶芸は強いんですよね? いったどのくらいの資源を投入しているのか……まさに、IT業界における中国の桁外れの強さを象徴している……。

大橋:
 囲碁は大きく分けて日本ルールと中国ルールがあります。GLOBIS-AQZは、日本のコミ6目半というルールに対応した囲碁AIです。

 欧米では、TikTokのように中国の開発したアプリを使用禁止にする例もありますから……今は海外の囲碁AIが使えたとしても、いつ使えなくなるかはわからない。

──そういった時のためにも、自国で開発することは大事なんですね! ……とはいえ開発にコストがかかりすぎるのも困るし、難しい問題ですね……。