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いま囲碁界で起きている“人間とAI”の関係──「中国企業2強時代」「AIに2000連敗して人類最強へと成長」将棋界とは異なるAIとの向き合いかた

source : 提携メディア

genre : ライフ, 娯楽

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囲碁界でも「○○は終わった」!?

──現在の最強ソフトは中国産のものだとすると、日本の棋士が使用するソフトもやはり、海外のものが主流なんでしょうか?

大橋:
 そうそう、そこなんですけど! 最近ゴラクシーの企業が新たなサービスを始めて。すごく強いサーバーに、手軽につなげられるサービスが出てきたんです!

 これまで日本の棋士は、クラウドに接続するためにちょっと苦労してたんですけど……。中国は囲碁の市場がものすごく大きいので、AIを手軽に使えるサービスがいくつかあります。AI搭載の碁盤まで登場していますし。

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──それ、おもしろいですね!

大橋:
 そうなんですよ! 自分で50万円くらいする最新のGPUを買う必要もなくなってきました。

──場所も取らないですしね。それは日本語で契約したり、操作をしたりできるんですか?

大橋:
 いえ。中国のアプリなので……一応、日本語になるんですけど若干翻訳が怪しくて。中国語から意味を推測したほうが……。

──海外アプリあるあるですね。

大橋:
 みんな手探りでやってる感じです。ただ日本だと、そのアプリを使用するのはプロ棋士か、棋士に近い棋力の人ですね。

──中国では、アマチュアの囲碁ファンもたくさん利用しているサービスということですか?

大橋:
 とにかく今、中国の囲碁市場というのが大きいんです。だから中国の大企業が、囲碁AIの開発に力を注いでいるという背景もあると思います

──将棋界ではソフトが登場したことによって、プロとアマチュアの差が縮まっているという指摘があります。囲碁ではどうでしょう?

大橋:
 囲碁は、藤沢さんや上野さんといった女流棋士の活躍が顕著ですね。あと、AI好きの中堅棋士が復活したとか……そういうことが起こっている段階だと思います。

 全体的な層が厚くなっているのは感じますね。みんな布石が上手くなったので。AIと研究することで、まず布石が最も恩恵を受けやすいようなんですね。序盤、中盤、終盤の一致率を調べた論文までありますし。