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いま囲碁界で起きている“人間とAI”の関係──「中国企業2強時代」「AIに2000連敗して人類最強へと成長」将棋界とは異なるAIとの向き合いかた

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genre : ライフ, 娯楽

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──中韓以外で、囲碁が強いのはどこの国なんでしょう?

大橋:
 伸びてる地域は、たとえばヨーロッパならドイツ・イギリス・フランスあたりは囲碁が盛んなイメージですね。あと強いのはロシア!

──ロシア!?

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大橋:
 ロシアやウクライナには何人かプロ棋士がいます。あのあたりはチェスの文化が根付いていますし。

──東欧はチェスがすごく盛んだと聞いていますが、囲碁も強くなってきてるんですね!

大橋:
 突き詰めてゲームを考える気質のある人が多い印象です。しかしまだまだ競技人口が少なくて、強い人も少ない。そうなるとAIやネット対局で強くなっていく。

──ここでもAIの影響があるんですね。

大橋:
 ヨーロッパでは10年ほど前にCEGOというのができてプロを採用しています。プロになった人たちは中国で勉強したり賞金付きの大会に出たりして、ヨーロッパに帰ってからは教室の先生をするとか。実力的には日本の中堅棋士と同じくらいでしょうか。

──強い! ここでも中国が進出しているんですね。

大橋:
 僕もロシアで打ったことがあります。数年前の時点で定先【※】でかなりいい勝負でした。

 そういえば、僕も海外から来た子を預かったことがあったんですが……正座ができないって、帰っちゃって。

※コミなしの最小ハンデ戦。

──そうなんですか!?

大橋:
 なかなか……ねぇ。そのときは僕も頭が固かったかもしれません。『正座椅子とか使うのはどう?』と提案したりして、少しずつ正座に慣れていってほしかったんですが……。

──う~ん。正座という日本文化はやはり棋道の普及の大きな壁になってしまっているんでしょうか……。

大橋:
 しかし逆に、それに憧れて日本に来ることもあるんですよ。

──え!? 正座しに?

大橋:
 日本まで来て囲碁を学びたいと言う人は、そもそも日本の文化そのものが好きだったりするんです。お茶やお花とかあとはやっぱり、日本のアニメが好きだったり(笑)。

──なるほど! 囲碁が好きなだけなら中国や韓国でもいいわけですからね。

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