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 人間は読みが強いので……というか、読みは比較的、AIとも勝負になる。大局観や形勢判断はAIが強すぎるので……これ、15年前の棋士に言っても誰も信じないな(笑)。

──そうやってAIとぶつかり稽古を重ねたトップ棋士たちの碁は、今どんなふうに変化してきているのでしょう?

大橋:
 そうですねぇ……やっぱり、AIとの一致率が高い人のほうが成績は良い傾向があります。研究が進んで序盤を真似するのは比較的簡単なんですけど、強い人は、中盤以降の精度が高いですね。

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 形勢判断力がAIに近く、さらに攻め合いだったらAI以上の手を出してくる。中終盤でトップ棋士は強い気がします。

──将棋の永瀬王座は、中終盤以降でもソフトと同じ手を指せる人が今の天才だと述べているんですが、まさにそういう状況なんですね……。

大橋:
 ただ、たとえば大西竜平君(七段)みたいに、序盤でAIが示さない手を打つ棋士もいます。彼はそういう独創的な手を打つんですが、AIの第一候補と比べてもそれほど評価値が下がらない。一緒に検討してるといつも面白い手を発見してくれます。

──なるほど。そういう天才もいると……。

大橋:
 しかしこれは将棋と囲碁のゲーム性の違いがあるかもしれませんね。囲碁は比較的、そういった埋もれた手が多い。けど将棋は……囲碁よりシビアな印象です。

──盤の広さがそもそも4分の1なわけですしね。確かにおっしゃる通りかもしれません。

囲碁界の見所はここだ!

──あっというまにお時間です。最後に、今後の囲碁界の見所を教えていただけますでしょうか?

大橋:
 やっぱり女流棋士ですよね。アルミ杯という男女一緒の若手棋戦で優勝した藤沢さん、上野さんや仲邑菫さん(初段)が話題になりました。

 女流棋士の実力は、今後どんどん上がっていって七大タイトルも夢ではないと思います。そこは注目していただきたいです。

──将棋でも、あと一歩で女性プロ棋士が誕生するところまで来ています。どちらの世界でも女性の活躍が楽しみですね!