大橋:
中韓は勝負にカラいイメージです。さっきの、中韓のトップ棋士がAIを吸収するのが早かったというにのも繋がるんですけど……。
──ほほう?
大橋:
中韓の棋士のほうが、勝つためにAIの手をコピーするのにためらいが無いんです。逆に日本棋士は、そこに自分の工夫を入れたがる。井山さんも自分のアレンジを常に加えようとしている気がします。
──そこは共感できますし、将棋でも30代くらいのトップ棋士はそういう傾向があるような気がします。
大橋:
しかし中韓の棋士は、勝つためにシビアに数字を追い求める。1%でも数字を上げるためにAIの示す手をコピーし、それに徹する。そういう違いは感じますね。
──強くなろうという意志が、桁違いなんですね……。
大橋:
ちょっと恥ずかしい話なんですけど……インターネット対局場だと、AIを使ったカンニング対局は問題になってます。先日もとあるサイトでBan祭りがあったようですし。
──それは将棋でも問題になっています。ソフト指し検出器なんかも登場してますが、イタチごっこになってしまいますよね。
大橋:
ただ、囲碁のプロの中には『強い相手と打てるなら人でもAIでもどっちでもいい』と開き直る棋士もいます(笑)。
──強い相手と戦いに来てるんだから、相手がソフト打ちだろうと関係ないと。
大橋:
囲碁のほうが、AIと対戦するアレルギーは少ないのかもしれません。AIが好きな人は、AIに負けることに全くためらいが無い。以前、AIに2000連敗して世界チャンピオンになった棋士がいるとお話ししたことがあるんですけど、最近のAI好きな棋士は1000局くらい対戦してる人が多いんです。
──検討するだけではなく、実際にAIと打つんですか!?
大橋:
そうですね。研究に使うだけがいいのかな……と思っていたんですけど、打って負けるというのも相当いいみたいで。実は私も見習って200局ぐらい打ちました。四桁はまだ遠いですが。