みずほのシステム障害は人災である
「みずほさんは何故、月末の繁忙時にデジタル口座の移行作業を行ったのか理解できない」
他のメガバンク幹部はこう首をかしげる。システム障害の直接の原因は大量のシステム処理が重なる月末に、デジタル口座の移行作業を行ったことによる容量オーバーにある。問題はシステムの常識ではありえない、この危なっかしい判断がどうして組織的にスルーしたのかにある。そこには「MINORIの移行作業が無事終了した安堵と慢心、そして移行後、手薄になったシステム人材という問題があった」(みずほ関係者)という。
佐藤康博社長時代の2017年11月。みずほは26年度末までにグループの従業員数を現状の約7万9000人から6万人に、1万9000人減らすリストラ策を発表した。そのテコにされたのがシステム統合である。
MINORIの本格稼働を待っていたように、みずほFGは「MINORI」の中核ベンダーの1社である日本IBMと合弁会社「MIデジタルサービス」を設立し20年7月1日から業務を開始した。同社はみずほの関連会社であるみずほオペレーションサービスを母体として日本IBM65%、みずほFG35%出資で設立されたものだ。「MINORI」への移行が完了し、本格稼働に入ったことで、従来開発に携わってきた優秀なシステム人材の多くが同社に移籍した。かつ「MIデジタルサービス」へのみずほFGの出資は35%ということで連結対象から外れる。
1万9000人もの人員削減とシステム要員の合弁会社への移籍が今回のシステム障害を深刻化させた点は見逃せない。みずほのシステム障害は人災なのだ。
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森岡英樹氏による「みずほ銀行『システム障害』は人災である」は、「文藝春秋」5月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。20年前の合併の怨念まで分析した出色の論考だ。
みずほ銀行「システム障害」は人災である
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