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「そこからは、将棋の内容は上向いてはいくものの、タイトル戦に出たりとか結果を出したりできないというところなので」

──……過去のインタビューに『ミスをすると自分が許せなかった』という発言があったんですが、やはりその時期は、特に自分を責めるようなところはあったんでしょうか?

「ああー……ありましたね。やっぱり」

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──自分に向かっちゃうんですか? 相手が悪い……というか、相手が強いからとかではなく。

「うぅーん。でもやっぱ、自分に向かっちゃいますね。特に棋聖戦の第四局とかは、もちろん羽生先生はムチャクチャ強いんですけど……歩を打って成り捨てたりしてるわけですよ(苦笑)

──『いまのナシ!』みたいな感じでね(笑)。あれはびっくりしました。

「それをこっちが咎めに行って、負けているので(笑)。だから、何て言うか……あのへんは、キツかったですね……」

──向こうが間違っていることを両者が認めているにも関わらず、それでも負けたという……。

「そうですね……」

──自分のやりかたがおかしい、という考えになったんですか?

「時間はたくさんかけていたんですけど……やりかた、というか、『こうやったらこうなるだろう』というのが間違っていたんだろうなと、今となっては思うんですけど」

──どんなことをやっていたか、具体的に教えていただけますか?

「当時取り組んでいたのは…………」

 これまでのインタビューでは、豊島が人間との研究会を全て辞めてから具体的にどうソフトを活用していたのか語られることは、ほぼなかった。
 おそらくそれは、豊島自身が、自らの使い方について『あまりよくなかった』と感じていたからだろう。
 豊島は語り始めた。
 耳を疑うような内容を。

 

『中盤が強くなりたい』と思い、矢倉でソフトと指し続けていた

「……あの、電王戦終わってからも、そんなにはソフトを使っていなかったんですよ」

「使ってはいたんですけど、指した将棋の振り返りとかに使っていて。結構、補助的に使っていまして」