「その次の年も、王将リーグは結構いい成績を取ってたんですけど、途中で負け続けてしまって。2回くらい連続で挑戦の一番があったんですかね? 確か。それを連敗して、挑戦できなくて」
「そのへんから、ちょっとずつ……って感じですかね」
「そのころは、同年代というか2~3年年上くらいのグループの中で、自分がわりと先のほうを走っているような感触はあったんですけど。まあ成績的にも」
「でもやっぱり、うーん…………そこまで、棋力が伸びていっていないな、というのがあって」
「その後……タイトル戦に全然縁が無くて。そこから数年は。で、その数年は……まあ順位戦や竜王戦で昇級はできていたんですけど、それでは満足し切れていないというか」
「そういうのも、今にして思えば、一つ一つ積み上げていくのも当然大事ですから、そこで達成感を感じて、それでやる気に変えていければよかったと思うんですけど……あんまり、そういうふうにも思えなくて」
「それで、そうですね……だんだん、苦しくなっていったというか」
「で、その後、電王戦に出て」
「そうですね。電王戦に出て、王座戦や棋聖戦のあたりは……どういうふうにやったらいいか、まだわかっていなかったというか」
「将棋ソフト使っても、どういうふうにどうなるというのが、ぜんぜんわかっていなかったので」
「棋聖戦で、羽生先生に挑戦して負けたあたりは……ああでもあのへんは、将棋は相当一生懸命やっていたんですけど。それまでよりも特に量を増やして、やっていて」
「でも結局、最後のほう全然勝てなくなって終わったので……」
「思えば、あのへんが一番苦しかったですかね。棋聖戦、負けたあたりが」
「うん。そのあとは何か、やりかたを変えて。成果が割と出たので。レーティングも上がっていって、勝率も高くなって。A級に上がれたりJT杯に優勝できたりしていたので」
「棋聖戦に負けたときが、一番……本当に、どうしようもなかったというか……」