「そうですね。『電王戦を見てから応援しています!』ということは、よくおっしゃっていただけるようになりました」
──街を歩いていたら声をかけられることが増えた、みたいな?
「街……を歩いていても声をかけられることはないんですけど(笑)。前夜祭などでファンの方から『電王戦を見ていました!』と言ってもらえたりはします」
──ネットメディアが華やかな頃で、あべのハルカスで対局ですよ! 普通のタイトル戦でも体験できないような場所で将棋を指してみて、いかがでしたか?
「や、そうですね。本当にいい経験になったというか。タイトル戦に初めて出た時も緊張しましたけど、それ以上に……緊張感はありましたね」
──相手がコンピューターだということも含めての緊張感だったんですかね?
「それもありますけど、やっぱり注目度の高さみたいなもので」
解説の仕事は控え目にして将棋の研究を
──電王戦の約半年後には王座戦で羽生先生に挑戦なさるなど、豊島先生の対局は数え切れないほど中継されました。しかし解説役として初めてニコ生にご登場なさったのは、電王戦からずっと後の……第3期叡王戦第1局なのではということなんですが、これは正しいでしょうか?
「そうですね。それ以前に解説者として1日いたことはなかったような。タイトル戦の副立会人として、少し登場させていただくということは何度もあったとは思いますけど」
──やはり関西にお住まいなので、スケジュールが合わなかったというのが、引き受けなかった大きな理由なんでしょうか?
「それもありますけど、その頃は結構そういう仕事は断って、研究することも多かったので……」
──解説の仕事を?
「全部断っていたわけではないんですけど。控え目にしていて」
──そういう時でも、なるべく出ようと心がけていたお仕事ってありますか?
「(出身地である)愛知県の関係の仕事は受けていましたかね」
──ですよね! 私が初めて豊島先生を生で拝見したのが、2013年の名人戦第5局。名古屋のホテルで行われた名人戦に、豊島先生が副立会人としていらしていて。