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「それは負け始めてからですね。やったけど、あんまり効果なかったです(苦笑)」

──そういう時に参考になさることって、他の棋士が「こうやったらよかったよ」と言ってることなのか、それとも別の世界の……たとえばスポーツ選手のスランプ克服法とか、どっちが参考になるんでしょう?

「(どちらも)参考にはするんですけど……どちらも上手くいったりいかなかったりという感じですね」

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──となると、休むしかない?

「どうしたらいいかわからないまま名人を失冠して。そこで……ちょっと長い目で見て取り組んでいったらよくなっていった、という感じでしたけど」

──課題が見つかって、それに取り組んでいくことができる状況というのが、豊島先生にとっての『よい状態』ということなんでしょうか?

「そうとも言えないのが……対局が多くなると、課題がたくさん見つかるんですけど、それを全部改善しようとせずに、ある程度許容しつつやっていったほうが、成績はいいですかね」

──現実を受け入れる、という感じなんでしょうか?

「すぐには変わりませんからね。課題に取り組んでも」

──完璧を求めすぎていたという面があって、それが体力切れに繋がり、結果が出なかった?

「そうですね。やろうとすると……課題が見えてすぐにそれに取りかかると、体力切れするというか」

「体力切れじゃなかったとしても、新しいことに取り組みながら対局もこなしていくとなると、やはり大変なので。そのへん、うまくバランスを取れるようにというのが大事ですかね」

──『自身のスタイルは対局が多くあってのもの』というご発言もありました。

「研究会とかそんなにやってないので、対局が無いと弊害が出てくるというのはあります」

──メンタル的な部分で? 気分を対局に向けて盛り上げていくというか……。

「メンタルというか、対局してないと感覚が鈍ってくるところがあるんです。『この手がいい、この手が悪い』みたいな感覚は変わらないんですが、『とりあえずここまで読んだら指す』みたいな感覚が鈍るというか……考え過ぎちゃったり」