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「ああ~辛い、ウ~」交際相手の女性と同じ風俗店で働く処女SM嬢が下した意外すぎる“人生の決断”とは

『限界風俗嬢』より #2

2021/08/14
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 当時はカオルなりに、周囲に同調しなければと、仮の姿を演じていたのだろう。そのときのシホさんとのやり取りが頭に浮かんだのか、カオルはフフフと思い出し笑いをする。私は単純な好奇心で質問した。

「初めてシホさんとセックスしたときって、どうだったの?」

「ああっ、いやでも、そうですね。クフッ、ふつうに興奮しました」

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男性との違い

「女性とは初めてでしょ?」

「初めて」

「なにか男性との違いを感じたりした?」

「それは、やっぱりチンチンがないから。これが、ヒトの女性器なんだぁって。アハハ」

 照れ笑いを浮かべる。そのように相手が恥ずかしがっているときは、こちらはかえって遠慮のない聞き方をしたほうが、相手も答えやすい。

「そのときって、タチ(攻める側)はどっちだったの?」

「あ、た、し、だったですね」

「それは自然とそうなってたの?」

「そうでしたね。まあ、日によりますね、いまは……」

「いまは?ネコ(受ける側)になることもあるんだ」

「そうですね。私疲れてて攻めらんないよ、今日は、みたいなときに……」

「いまはどれくらいの割合で会ってるの?」

「働いてるんで……。えーっ、どうかなあ、2週間に1回会ったらいいほうかなあ」

 ここで私は、最初に気になっていたことを話題にすることにした。

最初はSMじゃなく痴漢のイメクラ

「××(SMクラブ)に所属した順番でいえば、シホさんが先だったような記憶があるんだけど、それはどうしてだったの?」

 取材対象を探すために、私は同店のホームページをまめにチェックしていた。結果的に、2人が揃って同じ店で働くようになるに至る経緯を知りたかったのだ。

「もともと、私がオナクラをやってたときに……なんかオナクラってあまり稼げないんですよ。お客さん全然来ないし。もう、おカネ欲しいとかって思ってて……。で、私は全然風俗慣れしてるんですけど、シホさんは大学2年のときに、風俗でほんのちょっと、それこそ1週間だけ勤めたくらいしか経験がなかったんですね。だから、

『ちょっとどこか勤めてみてよ』みたいなことを私が言って、最初はSMじゃなくて、痴漢のイメクラみたいなところに勤めさせたんですよ。勤めさせたって、ほんと言い方悪いけど、フフフ。勤めてもらって……。そこがあんまり稼げなくて、『じゃあSMいってみよっか』って……」

「なんでSM?」

「SMってやっぱお給料が高いってのがあって……私は最初はM性感を調べてたんですね。けど、自分から言葉で責めるのって苦手というのがあって、じゃあやっぱSMかあって……」

 M性感というのは、マゾ願望のある男性客を、女性側が言葉責めをしながらアナルを中心に刺激する風俗店である。それはさておき、彼女が当初の入店理由として口にしていた、「SMに興味があって、いじめられるとどういう感じかなって思ったんです」というのは、やはりリップサービスだったということがはっきりした。いちばんの入店理由は、金銭的な問題だったのだ。彼女は続ける。