東側に在来線が6面12線と広大で、新幹線は西の端っこに2面4線。東海道新幹線は、あれだけ長い列車があれだけのスピードで走り、それもまた数分間隔という神業を見せている。それが名古屋駅のような比較的コンパクトな駅施設で実現しているのだから、とんでもなくスゴいといっていい。
「名古屋」をわかりづらくしている原因は…
それはともかく、JRの在来線と新幹線が南北に通り、軸を成している名古屋駅。新幹線と在来線の改札口は中央の自由通路に面して設けられているから、それだけで完結するならば案外にわかりやすい。新幹線の改札前には「銀時計」、自由通路をずっと東側に向けて歩いて行くと、出入り口付近には「金時計」。どちらも名古屋駅を代表する待ち合わせスポットだ。
名古屋駅をわかりにくくしているのは、地下の存在にある。地下鉄のホームが地下にあるのは当たり前として、名鉄も近鉄もそのホームもすべて地下なのだ。
だから、たとえば新幹線を降りて名鉄に乗り継ごうとすると、延々と自由通路を歩いて巨大な駅の端っこに行き、広小路口と呼ばれる小さな出入り口を出てから目の前の名鉄百貨店の地下に降りて、などという初見殺しの彷徨を強いられる。
近鉄の場合は名鉄より少しは近いが、広小路口を目指すことには変わりない。初手から改札前で地下に降りて歩くこともできるのだろうが、方向感覚を失いがちの地下通路はそれこそ初心者にはおすすめしがたいところだ。
そして名古屋という町は、名古屋駅に限らないのだが地下街がとにかく充実している。新幹線側にはエスカ、自由通路の直下には中央地下通り、東側に出るとメイチカ・ユニモール・ダイナード・サンロード・ミヤコ地下街……と、まるで魔窟のように地下街が広がっているのだ。
本来ならば、この地下街を歩きたいところだが、正直に言って迷えずに戻ってこれるのか自信がない。そもそも名古屋を歩いた経験が乏しいだけに、まずは手始めに、名古屋駅の地上周りをうろつくことでご理解を頂きたい。
まずは東口に出る。高層駅ビル群を抜けて…
そんな言い訳を連ねたところで、名古屋駅の東口に出る。東口は、「桜通口」と名付けられている。例の名鉄や近鉄に乗り換える広小路口も東口側にあるので、桜通口の仲間といっていいだろう。