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客観的に見た「戦力としての河村」

 河村が「まだNBAの水準にない」という評価は、主にシュート面での苦戦に起因していると思われる。Bリーグや代表戦などで見せていた得点力は鳴りをひそめ、NBAの8試合で成功したシュート(フリースローを除く)は2本に留まる。

©JMPA

 これから河村がNBAのレベルで従来の得点力を発揮するには、「適応するための時間」が必要なことは明らかだ。しかし、グリズリーズにおいては出場時間がわずか数分間に限られており、今後のキャリアにとって決して望ましい環境とは言えなかった。

 この点で、多くの出場時間が見込め、また中心選手として攻撃する機会も増えるGリーグのハッスルであれば、サイズやスピードにアジャストするための経験も積めるはずだ。

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「チームメイトに愛されること」がNBA定着のカギに?

 以上のように、Gリーグでのプレイは、今後のNBA定着を考えれば「不可欠なプロセス」だと言える。むしろGリーグに移る前の段階でNBAのレベルを体感できたことは、河村にとって貴重な糧になるのではないか。

 さらに、河村が短い間にファンやチームメイトからの信頼を勝ち得たことも、今後のキャリアにとって大きな意味があるだろう。それはコート外におけるマーケティング的な側面だけではなく、プレイ中のコミュニケーションといった面でもプラスの影響をもたらすと考えられる。

 たとえば欧州リーグやNBAの非アメリカ人プレイヤーを専門に扱う「BasketNews」は、河村が今後NBAで多く出場するようになれば、ディフェンス面でつねに「チームメイトからのフォロー」を必要とするだろうと指摘している。

 その際、チームメイトに「チームで守る」という意識が徹底されていなければ、ミスマッチに起因する失点が増えていく状況に陥りかねない。

 バスケットボールのディフェンスでは、コミュニケーションの不和がシステムの崩壊を招くケースが少なくない。そう考えると、チームメイトたちが河村にスラングやジェスチャーを教え込み、それを楽しんでいる現状は、今後のプレイ面を考えてもポジティブな傾向なのではないか。