――中学校が辛かったそうですが、なにがあったのですか。
Lisa ファッションでも音楽でもアートでも、世界観がダークなものが好きだったんですよ。だから美術で絵を描くとダーク寄りになるし。カバンとか制服も、そっち寄りの感じでアレンジしたりして。
私は単純に好きだから、そうしてるだけなんですけど、先生たちはそう思ってくれないんですよ。私に右手がないから、そのジレンマみたいなものが格好や絵に反映されてるんじゃないかって思っちゃう。
袖の長いセーターを着てたんですけど、それは大好きなX JAPANのhideちゃんがそういうセーターを着てたから、めちゃくちゃ影響を受けて着てただけなんですよ。そうしたら、先生に「どうして、あなたは右手を隠してるの?」って言われたんです。
同級生からも「Lisaちゃん、ちょっと変わってるよね」と見られるように…
――右手にコンプレックスを抱えているように決めつけられた。
Lisa 風紀的に問題があると思ったのかもしれないけど、言い方としては「なんで、右手を隠してるんだ」なんですよね。いい先生ばかりだったんだけど、そこだけはどうしても引っ掛かったというか、理解ができなくて。右手のせいにされるのも含めて、「そういう表現をしてはいけない、こういう表現をすべきだ」みたいなところがあるなってすごく感じて。
先生がそうやって私を見ちゃうと、生徒たちも「Lisaちゃん、ちょっと変わってるよね」ってなっちゃうんですよね。さすがに母も納得できなかったみたいで、私の生徒手帳に文句を書いて、それを先生に渡したら理解してくれましたけど。
イジメとかはまったくされなかったし、みんなとも仲良かったんですけど、ちょっと浮いていましたね。
――ギターを始めたのは、hideさんに影響を受けて?
Lisa 小5あたりで、hideちゃんにバーンとやられて。あと、布袋(寅泰)さんも大好きで。最初はギターそのものというよりは、そのパフォーマンスとビジュアルの見せ方に魅せられたんですね。で、私もhideちゃん、布袋さんみたいになりたいと思って、「2人みたいになるなら、ギター弾かないと」っていうことでギターを始めました。
お年玉を貯めて、白いストラトとアンプとかが一緒になってるアイバニーズの初心者用セットを買って。そのボディを、布袋さんのギターと同じように白黒ラインの模様に自分で変えて。
バンドスコアを見ながら、hideちゃんの「ROCKET DIVE」とか「DICE」を弾いて。コードは、おじいちゃんが書いてくれたコード表を頼りに覚えていって。中3で、X JAPANの「紅」をマスターして。
ギターを始めた頃は、箱を右手にはめて弾いていた
――ギターを始めた頃、右手でのピッキングはどうされていたのでしょう。
Lisa 胃薬かなんかの箱を右手にはめて、箱の角でジャラ~ンと鳴らしていましたね。小5、小6までは、そうやって弾いていて、中1あたりでアクリルの板を曲げて、先にピックを付けた義手ピックを作ったんです。さらにベルクロとベルトを付けて、右手に装着できるようにして。それが義手ピックの1代目ですね。
――自分で作ったのですか?
Lisa いや、1代目は家族でいろいろ研究して、父が作りました。それ以降、ずっと父が作ってくれて、いまのやつは7代目なんですけど。材料も、ほんとホームセンターで買えるようなものばかりなんじゃないかな。材料費は4千円くらいですよ。
写真=山元茂樹/文藝春秋