いろんな新しいことにチャレンジして楽しかった
――ガマのなかで松永さんが話をするとき、映像は途中で切ったりせず、ワンカットで使われているんでしょうか?
小田 基本はワンカットです。
――暗闇ツアーをしている途中、暗くなって灯りがつくと吉開さんがいて、というのも編集でつないだわけではなくて。
小田 はい、最初は吉開さんに隠れていてもらって、灯りをつけたら出てくる、というふうにしてもらいました。どの照明をつけるかでパッと見え方が変わるというふうに工夫して。もしかしたら、シーンによってはひとつふたつ挿入した映像があるかもしれませんけど、撮るときは最初から最後まで撮ると決めてました。誰がしくじろうと、フィルム1ロール分は絶対止めずに映そうと。
――暗闇体験のあの暗さというのが、本当にフィルムならではの闇が映されていたなと思いました。今回、16ミリで撮ろうと決めたのは、やはり地下の暗さや闇を撮るためだったんですか?
小田 最初(札幌より前)はリサーチ活動も兼ねた5分程のパイロット版を作るところから始めたので、値段もそんなにかからないだろうし16ミリで撮らせてほしいとお願いしたんです。実際に撮ってみたら、やっぱり暗闇のあり方がデジタルで撮るのとは全然違うし、照らし方次第で映す対象の表情がまるっきり変わる。これは自分たちにとっていいトレーニングになるんじゃないかという気がして、最後までフィルムで撮ろうと決めました。
フィルムで撮ると、どこがどれくらい映っているかは現像されるまでわからないんですよね。こうすればきっとこう映るはずだ、とみんなで話し合いながら空間を作っていくのは楽しかったし、すごくいいふうに働いた気がします。
――編集はどういう形で行なったんでしょうか?
小田 札幌は札幌でまとめる、沖縄は沖縄でまとめる、という形で、その都度編集をしながら整理して作っていく感じでした。フィルムだからすぐには確認できなくて、ひとつのロケーションが終わったらフィルムをイマジカさんに送って現像してもらい、やっとラッシュ(編集前の映像)ができるという感じでした。
――編集作業はおひとりで?
小田 基本的にひとりで編集しました。『GAMA』はプロデューサーふたりとディスカッションしながら作って楽しかったので今回も同じ形でやりたいという気持ちはあったけど、前回うまくいったからこそ次はあえてひとりでやってみようと。めちゃくちゃ間口が狭くなったり結果的に失敗するかもしれないけど、もしかしたら遠くまで行けるかもしれない、という気持ちで。
――新しいことにチャレンジしたい、という気持ちが強かったんですね。
小田 はい、いろんな新しいことにチャレンジして楽しかったです。たくさん失敗もしましたけど。