次から次へと繰り出されるアドバイスに従いながらも、川上さんの心中は複雑だった。結婚相談所で規定されたルールとマナーの中で、本来の自分が抑え込まれていくような感覚になる。男性が望む女性像も大事だろうが、もっとありのままの自分の人間性を評価されたい。過去の恋愛経験や交際相手のことを思うと、モテていた自分へのプライドもそう簡単には捨てられない。だが現実の婚活は、川上さんの希望どおりにはならなかった。

30人以上とお見合いしたが成功せず

「こんなことを言うのは失礼かもしれないですけど」、そんな前置きをしながらも、川上さんは見合いで会った男性たちの印象をシビアに語った。

「はっきり言って、変な人が多かったんです。女性との交際経験がなさそうで何を話せばいいのかわからないとか、どう見ても普段着だよねって格好でボーっと待ってるとか、平気で遅刻してくるとか。あなたの年齢で子どもは産めますか、仕事をして稼いでくれますか、そんなことを言ってくる人もいました」

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 前述のように何度かの恋愛経験があった川上さんからすれば、女性と話もできない男性に魅力など感じない。子どもを望む気持ちはわかるが、初対面の見合い相手に「産めますか」、そんなデリカシーのない発言をする人は論外だ。

 一方で川上さんが好印象を持つ男性、年収や職業、外見などがハイスペックな男性は他の女性会員からの人気も高く、お見合い希望を出しても断られてしまう。結婚相談所でも、またマッチングアプリなどの婚活ツールも同様だが、男女とも一部の会員に人気が集中しがちだという。

 見合いが成立しなければ、むろんその先の可能性はない。川上さんは多少なりとも気になる男性にはせっせとお見合い希望を出し、男性からのお見合い申し込みにはOKを返し、とりあえず「数をこなす」という方針に変えた。このまま年齢を重ねればもっと婚活が厳しくなる、そんな不安が増したからだ。

「結婚相談所では1年間婚活して、30人ほどの男性とお見合いをしました。相手との都合を合わせるのが大変で、午前、午後、夕方と1日で3人の男性とのお見合いをハシゴしたり、会社の繁忙期には業務用のパソコン持参で合間に仕事をしたり。おまけに女性と話すのが苦手な男性が多いから、自分から一生懸命話を振るとか、相手が緊張しないように気配りするとか、まぁ我ながらがんばったと思います」

 見合いをしたうちの7人と仮交際に進んだが、一、二度のデートでダメになった。ある男性からは「しっかりしすぎていて、ドキドキ感がない」という理由で断られ、別の男性からは「仕事も家事も子育てもしっかりやって」と要求されて自分から断った。