「あなた達は自由を手に入れます」

――解放されるとは微塵も思っていなかった。

照井 はい。どうなるのかと思っていたら車が止まって、スーツを着た男が入ってきました。すると、「私はアメリカの外交官です。今からリトアニアに抜けることになります。あなた達は自由を手に入れます」と最初は英語、次にロシア語で言ったんです。車の中はワーッとなって、囚人同士でハイタッチしたりしていました。

 ベラルーシの国境審査を抜けた感じはなかったんですが、気付いたらリトアニアの審査に着きました。ベラルーシの人はビザが必要なので、1時間ほど待機の時間があったのですが、そこで外交官の人と話をしました。

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旧ソビエト連邦から独立した国々とロシア。照井さんらはベラルーシ隣国のリトアニアで解放された ©AFLO

 前日にベラルーシのルカシェンコ大統領とアメリカのケロッグ特使(当時)が会談して、多分何かしらの交換条件で人質を解放したようですが、「あなた達はファーストグループに過ぎません」と言われました。解放された14人に自分もおまけで入っていたみたいな感じだったんですが、話を聞くと何年も捕まっていた人もいました。半年くらいの自分は申し訳ないくらいの気持ちになったんですけど、偶然その中に日本人もいて、自分と同い年で5年捕まっていた人がいました。

 本当に雲一つ無い快晴で、人生最高の日だと思いましたね。突然始まって突然終わったという感じでした。太陽が眩しくて、あの太陽は本当に忘れられないです。

――直前までは捨てられると思っていましたしね。

照井 そうですね。本当に突然終わって拍子抜けでした。何も伝えられていませんでしたから。

拘束前より体重が10キロ増えた理由

――本にあって驚いたんですが、解放された時の体重が拘束前より10キロ増えていたそうですね。よく、収監中に痩せる人の話を聞くので意外だったのですが、なぜでしょうか?

 

照井 (拘置所では)運動ができなかったのと、もともとあまり朝ごはんは食べないんです。ただ、拘置所では3食出るけど、食べ物を捨てるのも警察側に生殺与奪の権があるんで、いつ昼食を切られるか分からなくて、出されたものは全部食べるようにしたんです。

 それに唯一の楽しみが食ぐらいだったのもあります。「このお粥みたいなやつまずいからあげる」って相部屋の人から言われて、一時期3人前とか食べてた時がありました。それもあって太ったのかなって。シャワーに行った時、明確に腹が出たなって思ったので、そこからはたくさん食べるのはやめました。