高校1年のときに入部した演劇部がクセのあるところで、寺山修司、別役実、野田秀樹とオリジナルの戯曲以外は演じない演劇部だった。演出や脚本を担当するだけでなく、自ら舞台にも立った見上は、ますます演劇にのめりこんでいく。多くの舞台に足を運び、チェーホフなどの戯曲を読み漁った。俳優になる気はゼロで、あくまで演出家志望だった。

見上愛のインスタグラムより

心惹かれた相手は…

 演劇にのめりこんだ見上が、もっとも心惹かれたのが寺山修司である。前衛演劇グループ「天井桟敷」を率い、演劇、詩、俳句・短歌、映画など、さまざまなスタイルと手法で時代を挑発し続けた稀代のマルチクリエイター。見上が演劇部で初めて演じたのが寺山の戯曲『犬神』だった。難解だったが、調べれば調べるほど、表現の奥深さと人間の本質的な部分への眼差しに惹かれていった。

寺山修司 ©文藝春秋

 見上は「かけがえのない一本」として躊躇なく寺山が監督した映画『田園に死す』を挙げる。ひな壇が川を流れるショットが有名なアングラ映画の傑作だ。見上は「自分の表現の幅が広がりましたし、(観る)映画の幅も広がった」と語る(オリコンニュース 2022年9月4日)。

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寺山修司の命日「修司忌」には『田園に死す』Tシャツを着て過ごす(見上愛&スタッフ公式Xより)

 今でも修司忌の5月4日には、青森県三沢市の寺山修司記念館で購入した『田園に死す』Tシャツを着て一日過ごすほどの心酔ぶり。JRAのCMに起用された見上は、寺山が出演していたJRA(日本中央競馬会)のCM映像を見て、感激のあまり泣いてしまったという(日経クロストレンド 2022年11月18日)。