演出家を志して日大芸術学部演劇学科に進学した見上だが(学内で見かけた河合優実に声をかけて親友になったのは有名なエピソード)、AO入試の受験資格を取る目的で所属していたワタナベエンターテインメントのスクールでスカウトされ、そのまま事務所入り(Web LEON 前掲)。「演出家もいるから」と言われ、事務所に入れば演出家になれるのかと思ったのだそう。

坂東龍汰、河合優実と(見上愛のインスタグラムより)

2019年にデビュー、濃厚ラブシーンにも挑戦

 その後、「演出をするなら演技も学んだほうがいい」とアドバイスされ、オーディションを受けるようになり、2019年にドラマ『ボイス110緊急指令室』(日本テレビ系)で俳優としてデビュー。2021年に放送された異色のドラマ『きれいのくに』(NHK)で、顔立ちにコンプレックスを持つ女子高生を演じて注目を浴びる。

 その後も数多くのドラマ、映画に出演。ドラマ『ガールガンレディ』(2021年、MBS・TBS系)ではクールで理知的だが裏切り上等の残忍な女子高生役を演じた。ドラマ『liar』(2022年、MBS・TBS系)では第1話の冒頭から佐藤大樹と濃厚なラブシーンを披露、佐藤の手で目を塞がれたままキスを交わす「目隠しキス」の場面も話題を呼んだ。

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主演ドラマ『liar』(2022年)(ドラマ公式Xより)

「全シーン分書き出す」緻密な役作り

 俳優としての見上の特徴は緻密な役作りにある。脚本をとことん読み込み、作品全体の登場人物の目的と障害を整理して、全シーン分書き出す。演じる役がストーリー全体やシーンで、どのような役割を果たすかを理解してから演技を考えるという。舞台の演出を志し、戯曲を読み漁った経験が活きているのだ。

 自分が演じる役に対しては、「共感」ではなく「理解」を大切にしている。できるだけ役に近い経験や知識がある人に取材して話を聞く。すべては「理解」のためだ。

「共感という軸で見たとき、25年しか生きていない一人の人生なんて、恐らくほとんど共感できないことだらけになってしまうから。ただ、いちばんの理解者にはならなくてはと思うので、思考や感情を理解する努力はしています」(VOGUE JAPAN 2025年12月1日)

役作りで金髪にしたことも(見上愛のインスタグラムより)

『光る君へ』は撮影が長期にわたる上、彰子を演じる年月も長く、性格も大きく変わっていったため、監督やスタッフと話し合いを繰り返して演技を組み立てていった。作中屈指の名場面と言われる、一条帝(塩野瑛久)への告白シーンも、いきなり感情を迸らせるのではなく「段階を踏んで徐々に表情や声に感情を乗せて、時間をかけて少しずつ変貌させていきました」と振り返っている(美術展ナビ 2024年9月22日)。