「分断家族」の暮らし

 楽しい1週間が過ぎると、国境で分断された家族を、とてつもない寂しさが襲ってくる。エルバンは「きつい、のひと言です。しばらくは何もやる気がなくなる」。

 日常が戻った「分断家族」の暮らしは苦しく切ない。

 親たちが見に来る幼稚園での発表会。お友達がアユミに聞いてくる。

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「アユミちゃんのパパは来ないの? パパいないの?」

 アユミは答える。「パパいるよ。パパいるけど、パパいないよ」

 また、飛行機が上空を通るとアユミは決まって空を指さしてこう言うという。「パパいるよ」

 いつも飛行機でパパのところに行くことを知っているのだ。3歳のアユミだが、スマホの使い方はもう知っている。毎日、エルバンが仕事から帰ってくると、アユミからビデオ通話が入ってくる。父子はスマホの画面越しで顔を見ながら長い会話をするのだ。

 エルバンとルナは、「アユミの将来がとても心配だ」と言う。

 いまはまだ父親が近くにいないことはぼんやりとしか分からないアユミ。だが、エルバンは「アユミがこの先、大きくなり、思春期を迎える。父親が強制送還されており、一緒に暮らせないことが分かったら、どれほど傷つくのだろうか。うまく成長できるのか」と懸念する。