いつか一緒に
「家族結合権」。家族が一緒に住む権利。国連加盟の各国が批准する自由権規約という条約はその権利を保障している。ある国の政府が父親だけを送還しようとした場合に、その家族から通報を受けた国連の自由権規約委員会が「条約違反」だと警告。
政府が、送還を断念した例は少なくない。エルバンの家族の例も、国連の人権のスタンダードからすれば、政府による人権侵害にあたる可能性がある。しかし、日本政府は自由権規約には加入しているが家族が通報する「個人通報」の制度は批准しておらず、ルナやアユミが国連に訴えることはできない。
ルナはこれまで5回も、名古屋入管にエルバンの再入国の許可を申請している。毎回3ヵ月ぐらい待たされるが、そのたびに「不許可と決定した」という通知が返ってくるばかりだ。それでも、エルバンとルナは「いつかは一緒に暮らせることを信じている」と話す。
愛知県の新居。ルナはいまも表札からエルバンの名前を消していない。2台分の車がとめられる広い駐車場もそのままにしてある。「エルバンはとても車が好きだった。いつ帰ってきてもいいようにそうしているのです」。ルナは言う。そして続けた。
「わたしたちにもう一度だけチャンスを与えてほしいのです」