噓発見器をパスしていた容疑者

 ようやく犯人が逮捕されたとウォーカーから聞かされたのだ。最初に作ったプロファイルに関わった捜査官全員を集めて報告会をおこなうつもりだと彼は言い、私も出席を求められた。

「じつは、前回のミーティングで言わなかったことがある。この犯人のプロファイリングを始めるまえにすでに、捜査員たちは容疑者をかなり絞りこんでいたんだ。オレンジのピントが使える環境にあり、被害者の友人で、同じ学校に通い、ボビーズのメンバーでもあり、事件の前後2時間ほどなぜか家を留守にしていた容疑者も、じつは1人いた」

 誰かが何か言うまえに、ウォーカーはみんなを黙らせた。

ADVERTISEMENT

「ああ、言いたいことはわかる。だが、彼女は噓発見器の検査にパスし、容疑者リストからはずされていたんだ。結果には虚言の形跡が何一つなかった」

「その2時間の空白について、アリバイは? 検査でそのことも尋ねなかったのか?」

 ダグラスが訊いた。

「ベビーシッターをしていたと彼女は言った。それを理由に車を借りたらしい。ちなみに、ピントは彼女の姉のものだった。ベビーシッターの話で姉と両親を騙したんだ」

「頭がいい」

 レイ(注:新たに行動科学課に配属されたプロファイラー)がつぶやいた。

自分を正当化した容疑者は

「だが一つ問題があった。噓発見器のことを聞いた僕は、結果のコピーをファックスしてほしいと頼み、うちの検査官の1人にそれを見てもらったんだ。ずいぶんまずいテストだと彼は言った。その検査官によれば、質問の仕方を変えるか、もっと適切な質問をしていれば、こういう結果になったかどうかわからないという。それだけでも、容疑者をリストからはずすべきじゃなかったとわかる」

「地方の制服警官は殺人の捜査にあまり慣れてないからな」

 ダグラスがぼそりと言った。

「だから次の段階として、われわれが作ったプロファイルを一つにまとめ、彼らがリストからはずしたその容疑者とどんなに一致するか指摘した。だが問題は容疑者本人だった。そのころまでには、たっぷりあった時間を使って、犯行について自分で自分を納得させてしまったんだ。

 被害者を殺したのは当然だったとすでに感じていた。こういうケースはこれまでも見たことがある。アンサブは心理的自己防御メカニズムを通過することで、『ああなったのはあいつが悪いんだ、あいつはガキだ、お高くとまりやがって。あんなやつどうなったっていい。死んで当然なんだ』みたいな考えに行きついた」

「こわ」

 レイがつぶやいた。