「だから、最後のプロファイリング・セッションでの容疑者の犯行後の行動について、アンに協力を求めた。もちろん、アンサブにもう一度事情聴取をするよう、捜査員たちにすぐに要請しようと思えばできた。だが、彼女を崩す要素が必要だった。あの晩起きたことについて、自分が何を考え、何をしたか、胸の奥にしまいこんでいることも含めて、あらためて振り返らせなければならなかった。さもないと、せっかく話を聞いても捜査員たちは何も得られない。少女に洗いざらい自白させる必要があった」
「ときには私の言うこともちゃんと聞いてくれるってわけね」
私は微笑んだ。
二度目の噓発見器テストで起きた少女の変化
「僕は警察にプロファイルを渡した。捜査員たちはもう一度容疑者に接触し、次の金曜日に二度目の噓発見器テストを受けてもらうことにした。すると、おかしなことが起きた。
テストの前に4時間にわたって事情聴取をおこない、そのあと検査をしたんだが、終わっても少女はなかなか帰ろうとしなかった。その場でぐずぐずして、噓発見器の検査員と話をしたがった。ようやく彼をつかまえると、こう言った。『私がやったと思ってるんですよね』彼はそのとおりだと答え、彼女に名前を訊かれたので『ロン・ヒリーだ』と答えた。
検査の結果、2つの主要領域で虚言が見られ、ほかの領域についても結論が出ない部分が多かった。だがそれだけではまだ捜査を進めるわけにいかなかった」
「あなたの言ったとおりね」
私は言った。
「彼女はそれまでのあいだに防御壁を築きあげ、行動の正当性を自分に納得させてしまった」
“署名入りのメモ”で母親に殺人を告白
「検査結果が出て、少女がようやく帰宅した金曜の夜、僕もそう思った。ところがそのあと、思いがけないことが起きた。僕がそれを知ったのは事後だったんだけどね。土曜日と日曜日に、彼女は母親を呼びとめて話をしようとした。ところが母親は忙しくて、彼女と話をする時間が取れなかった。そして月曜の朝、学校に行こうとしていた少女が洋服ダンスの上に置いたメモを指さして言った。『ママ、私が学校にいるあいだにあれを読んで』それはカースティン・C殺害を打ち明ける署名入りの文書だった」
「興味深いわね」
私は言った。
「自白するかどうかは依然として自分の意思しだい、と思っているような節がある。その前に母親の関心を引こうとしても引けなかったから、無理やりにでも母親を巻きこむシナリオを作った。そのメモを見せてもらえる? 彼女の動機がきっとはっきり書いてあるはず」
ウォーカーはうなずき、紙切れを取りあげると、読みはじめた。
