完全犯罪と思いきや⋯

 溶けた身体は、排水溝に遺棄されました。溶け残った骨の一部はハンマーで砕かれ、細かな骨片にされて排水溝に流されます。排水溝に捨てられなかった大きな骨は、東京都あきる野市の秋川河川敷にてハンマーで砕かれ遺棄されました。

 警察は、被害者の携帯電話を壊して埋めたという容疑で、3人のうちの2人を逮捕しました。警察は彼らが殺人犯ではないかと考えていたものの、遺体が見つからず、殺人容疑では逮捕できませんでした。器物損壊の容疑で逮捕後、警察は殺人についても取調べを行いましたが、男たちは「知らない」と言います。

 なんとか殺人を立証したい警察は、実験をします。人の肉に見立てた豚肉と骨を、強アルカリ性の洗浄液に浸して観察したのです。すると、ゆっくりではありますが、徐々に肉も骨も溶けていきました。これなら人の身体も溶かせるはずだ。警察はそう考えます。

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 警察は、犯人の自宅の水道使用量も調べました。すると、水道使用量が、事件があった直後だけ通常の約3倍になっていたことがわかりました。そう、遺体を鍋で煮込んでいた男の実家です。遺体が溶けるまで何時間も鍋を沸かしていたら、水分は蒸発していきます。煮込み続けるために、かなりの水が必要になったのでしょう。警察はこの家で遺体が溶かされたと睨みます。

 警察がトイレの汚水槽を捜索したところ、顔の骨と思われるかけらが発見されました。状態が悪く、DNA照合はできませんでしたが、汚水槽からは意外なものも見つかります。小さなネジです。どうやら、インプラント(人工の歯根)のネジのようでした。薬剤で溶けていない、チタン製のネジです。