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間違った知識が生む「恐ろしい日本の性問題」

 日本の不妊治療の現場でよく聞くのは、夫婦そろって「生理がある間は、妊娠できるのかと思っていた」という誤解である。不妊カウンセラーの河野康文氏は、日本人の知識不足に危機感を募らせてこう言う。

「不妊の原因のひとつは、子宮の内膜が薄いため、着床しにくくなっている点です。内膜が薄くなる原因には、掻爬とクラミジア感染症があります。日本は不特定多数の性交渉率が高いため、クラミジア感染症が多く、100万人を突破している。妊娠に悪影響があると社会が教えるべきです」

 男性のクラミジア感染も多いが、男は自覚症状に乏しいため、知らずに感染を拡大させている。また、女性のHIV感染の割合は10代が最も多く、加齢とともに減っていく。ところが、日本では50代の女性から再び割合が増している。

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「閉経後にコンドームをつけなくなったためで、これらは不特定多数の男性と性交したからではなく、特定のパートナーからの感染です」(川崎医科大病院血液内科の和田秀穂教授)

 夫が外から持ち込んでいると思われる。EUで減少傾向にあるHIV感染が、日本では増加している点も注目すべきだろう。

「自分の身を守る」性教育に抗議の声が上がる日本

 オランダでは93年から性教育を義務化したことで、10代女性の望まない妊娠と中絶率が日本よりも低くなっている。また、性暴力が多い韓国では、今世紀から性教育を普及させて対策を打とうとしている。

 かたや日本では、泌尿器科の医師が「EDは動脈硬化の兆候だから勃起は大切だ」と講演すると、時々、PTAから抗議が来るという。教えないことの方が不幸なのに、性を隠したがる風潮は根強い。

 橋本教授が言う。

「性教育とは、要は人間関係の話なんです。セックスは単純な快楽のためではなく、2人の愛情や信頼、優しさがなければ行動してはいけないよということをきちんと教えているんです」

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 男が硬い勃起を取り戻すことだけがED治療ではない。ED治療のガイドラインは、「満足のいく夫婦生活を回復し、保つことによる幸せの追求」を目的としている。

 サプリや薬の技術は進歩した。あと必要なのは、自分の体を守る知識である。

次回は異性を惹きつけるための「フェロモン体操」に迫る