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2019年M-1・全員インタビュー なぜ“神回”になったか

霜降り明星の“記録更新”ならず 「どーもー、からし蓮根です」の「ど」でわかったM-1の厳しさ

漫才師・からし蓮根インタビュー#1

2020/04/12

「過去最高って言ってもいいのかもしれないですね。数年前なら誰が出ても優勝していたんじゃないか、というレベルの高さでした」

 大会の締めに審査員のダウンタウン松本人志がこう語るほど、2019年のM-1は沸いた。では何がこの“神回”を作ったのか。出場した漫才師たちのインタビューから、その答えに迫っていく。

 事前に決勝進出を決めていた9組中7組が初出場組という異例の大会。そのなかでも、唯一の20代コンビとして挑んだからし蓮根。「ファンになった」「初々しい」と上沼恵美子や松本から称賛の声が集まった。

 前年に霜降り明星が最年少優勝を果たし、その記録更新も期待された2人が経験したM-1とは? (全3回の1回目/#2#3へ)

◆◆◆

「どーもー、からし蓮根です」の「ど」でわかった

――漫才師の方は、最初の30秒で決まるというようなことをおっしゃいますが、M-1決勝のとき、お2人はどうだったのでしょうか。

青空 30秒というより、もう出た瞬間というか、「どーもー、からし蓮根です」の「ど」ぐらいでわかりしたね。

――「ど」のとき、どうだったのでしょう。

青空 めっちゃ硬かった。

――テレビ中継の録画を見直していて、とても印象的だったのは、2番目にかまいたちさんの名前が呼ばれたとき、他の出演者が拍手している中、2人だけ固まっていたんです。

からし蓮根の伊織(左、ボケ担当)と杉本青空(ツッコミ担当)

伊織 ここでかまいたちさん来るんかってなってたんで……。

青空 容赦ないなというか。

――ぼう然としていましたよね。

伊織 ほんとのこと言うと、笑神籤、仕組まれてると思っていたんです。やらせだろう、と。

――皆さん、そうおっしゃいますよね。

 

伊織 裏で絶対、操作してるんやろうと思ってて。クジが導入されてから、2年連続、初出場組がトップバッターだったじゃないですか。今回、トップバッターはまた初出場のニューヨークさんだったので、ほら、やっぱりと。そしたら2番手で「エッ! ここでかまいたちさん?」となって。

青空 これはガチやなと。トップの次に不利じゃないですか。

――ただ、そのかまいたちは大爆笑をさらって、660点という高得点を叩き出しました。

伊織 優勝はかまいたちさんやって、めっちゃ思いました。

青空 って、なりましたね。正直。

伊織 その後、3番手の和牛さんが652点を出して、この2組は決まりやと思いました。でも、この大会はそこからがすごかった。

――かまいたちのネタは舞台裏のモニターで見てたのですか。けっこうみなさん席から離れていて、他のコンビのネタは見てないと話していましたが。