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「黒子のバスケ」に萌え狂った女が、浪費できなかったコミケの話

「黒子のバスケ」に萌え狂った女が、浪費できなかったコミケの話

「コミックマーケット98」は史上初の中止

2020/05/02

通い続けて早9年、ハマったのが「黒子のバスケ」

 そうしてコミケに通い続け、早9年。社会人になった私は、なぜか人生で初めてジャンプ漫画にハマった。それが「黒子のバスケ」だ。

筆者撮影

 10代の頃はスポーツものに積極的に興味を持ったことが一切なく、友達から少年漫画を借りていっときは楽しんでも、強さがどんどんインフレしていくことに対して「一体いつ終わるんだよ~」ということばかりが気になり、追いかけ続けることができなかった。だから推し声優満載で「黒子のバスケ」がアニメ化されると聞いたときも、1話からチェックしようとは思っていなかった。

 それなのに、である。いつものように上司に怒られながら働いて帰宅した6月の深夜、ふと気まぐれでつけたテレビが全てを変えてしまった。

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 それは「第13Q 信じてました」(「黒子のバスケ」アニメ)の終盤だった。中学時代、最強校・帝光中バスケ部で“キセキの世代”と呼ばれる活躍をするも、チームのあり方に疑問を感じて退部した主人公・黒子テツヤ。彼が新設校である誠凛高校のバスケ部の一員として、かつてチームメイトだった緑間が所属する強豪校・秀徳高校とインターハイ予選で激戦を展開する、その最後の最後が描かれていた。

 どこまでも食らいついてくる誠凛の面々に、しかし決して隙を見せず、ラスト3秒でさらにシュートを決めようとする緑間。しかも彼は、黒子のバディであり、誠凛のフォワードである火神が自分のジャンプについてくるだろうと見越して、実はフェイントを入れており、ボールを下げて火神をかわし、シュートを成功させようとするのだが……なんとそれをも見越した黒子が彼のボールをスティールし、誠凛と秀徳の1点差を守るのだ。

©iStock.com

「ボクも信じてました 火神くんなら跳べると そしてそれを信じた緑間くんがもう一度ボールを下げると」