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将棋名人戦開催の舞台裏──「コロナの影響は?」「開催地はどうやって決めてるの?」朝日新聞社の”中の人”にタイトル戦運営の裏側を聞いてみた

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genre : ライフ, 娯楽

note

桑高:
 だから『再来年の名人戦の開催地になりたい!』と打診してくださるところもあります。

──その場合は名人すら誰かわからない(笑)。やはり対局者が誰かというよりも、『名人戦をやりたい』という気持ちから応募するものなんですね。それでは開催地の順番はどうやって決めておられるんでしょうか?

桑高:
 名人戦なら七番勝負なので、4局目までは必ず行きますよね。だからどこも4局目までに入りたいというのはおっしゃいます。

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──それはそうですよね。

桑高:
 だから5局目以降を引き受けてくださるところを、我々はいつも探しているという状況です。ただまあ、5局目は比較的行くことが多いので、やってくださるところは多いんですが……6局目や7局目となると……。

──なかなか手を挙げづらいですよねぇ。

桑高:
 もし前の対局で決着してしまったとしても、こちらはキャンセル料などはお支払いできない。やりたいのはやまやまなんですが、こちらも予算がありますから。それでも引き受けてくださるとなると……。

──天童ホテルさんとか常磐ホテルさんとか、よく行く場所になるわけですね。

桑高:
 よくお世話になる場所は、安心感もあります。急にたくさん報道陣が来ても対応できるとか。

──番勝負がもつれればもつれるほど注目度も上がっていくわけですしね! ところで、準備期間はどの程度なんでしょうか?

桑高:
 ここ1年はコロナ禍で下見にもなかなか行けないような状況ではあるんですが……通常なら10月くらいには下見に行っています。

──では、名人戦が始まる半年前にはもう実際に現地へ行って準備を始めておられるわけですね。開催地選定の決め手というのは、どんなところでしょうか?

桑高:
 予算的なこともありますし、協賛社さんもいらっしゃるのでそちらのご意向も汲んで……となりますが、一番大きいのは地元の熱意ですね。

──熱意。

桑高:
 はい。市政○○周年の記念事業としてとか、○○祭りに併せてやりたいとか。その年を外すとやることができない……となると、やはりそこを優先しようかと