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将棋名人戦開催の舞台裏──「コロナの影響は?」「開催地はどうやって決めてるの?」朝日新聞社の”中の人”にタイトル戦運営の裏側を聞いてみた

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genre : ライフ, 娯楽

桑高:
 そういうところもあると思います。前夜祭とかって食べ物も出ますから、ホテル・旅館さんにとっては収入に繋がるわけです。それが一気に……関係者の食事だけになってしまうと、思っていた金額が出なくなってしまう。大盤解説に付随する宿泊客も見込めないわけですし。

──ファンにとっても、対局者と同じ旅館に泊まることができるのは、それだけで楽しいことですからね。初めて名人戦を開催するようなところだと、旅行に行く楽しみもあります。それができないのは非常に残念ですね……。

桑高:
 我々も普段、大盤解説の会場にいるんです。そうすると、いつも顔を合わせる方がいらっしゃる。毎年名人戦を楽しみにしていらっしゃる方々のお顔が頭に浮かんで……悲しい気持ちになりましたね……

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──一方、今年の1月16・17日に行われた朝日杯の名古屋対局は観客を入れて行われました。2月に有楽町の朝日ホールで行われた準決勝と決勝は無観客でしたが……名古屋とはいえ観客を入れるという判断は、怖くはなかったですか?

桑高:
 ありましたね。チケットを販売するのを決めたのが11月だったんですが、12月の時点でも、名古屋は感染者数が少なくて。でも年が明けてから一気に……。

──感染者が爆発的に増加しましたね。

桑高:
 愛知県が緊急事態宣言を出せば、中止にして払い戻しということも(選択肢としては)ありえたと思います。ただ、今回の名古屋対局のチケットは、そもそも感染状況が悪化しても開催できるよう、会場のキャパシティーの半数しか販売していなかったんです。

──そうでしたね。しかも名古屋国際会議場って、あそこメチャメチャ広いところですよね。

桑高:
 そうです。メチャメチャ広くて。

──以前にやっていた東桜会館とは規模が全く違います。

桑高:
 東桜会館も大盤解説会場はものすごく広くてよかったんですけどね。そこを満員にして、大々的にやろうという目論見が……コロナ禍の前から準備していたんですけどねぇ……。

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