桑高:
感染症対策というのは、たとえば受付にアクリル板を用意するといったような、その場の対策というのももちろん重要です。
──はい。
桑高:
しかし一番重要なのは『誰がイベントに来ていたのか』『どこに座っていたのか』を把握して、追跡可能にしておくということです。
──なるほど……。
桑高:
朝日杯は早指しとはいえ、相手は感染症ですから。換気に気をつけて、密にならないよう席を離しても、感染してしまう可能性は否定できません。だからトレーサビリティーというのは重要ですね。
──となると、当日券を販売するという方法ではなく、事前に予約してもらって、名前も住所も電話番号も把握して……ということが重要になるんですね。
桑高:
はい。さらに可能であるなら、どの席に座っていたかも把握した方が望ましいと思っています。
──それは……たとえば今後の名人戦の大盤解説会などでも適用されるわけですか?
桑高:
意識はしていきたいですが……現実問題として、大盤解説会が指定席となってしまうと、その事務処理だけでも大変です。しかも実際に指定席でやってみた経験から言うと、やはり当日来られない人も出てくる。そうすると歯抜け状態になってしまって……。
──前が空いてるならそこに座りたい、と言い出すお客さんもいるでしょうしね。会場の写真を見て、キャンセルが出たなら行きたかった……と言う人もいるかもしれません。難しいですね。
桑高:
日々、反省することだらけですね。
──全席指定の前夜祭、なんてのもありえるんでしょうか?
桑高:
考えてはいます。けど、たとえば全席指定で丸テーブルを囲んで……見ず知らずの将棋ファン同士が相席になったとして、盛り上がるんだろうか? 会話は成り立つんだろうか? しかも対局者が出てきたらみんな写真を撮りたいけど、移動は……。
──できないとなると、不公平感が出ますよねぇ。
桑高:
移動できるとなると密になりますし……。