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将棋名人戦開催の舞台裏──「コロナの影響は?」「開催地はどうやって決めてるの?」朝日新聞社の”中の人”にタイトル戦運営の裏側を聞いてみた

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genre : ライフ, 娯楽

──そうだったんですね……。あの、実は私、以前は東桜会館の近くに住んでいまして。

桑高:
 ああ、そうだったんですね。

──初めて朝日杯の名古屋対局が発表されたときの衝撃といったら! 近所ってのもあったんですけど……S席の値段ですよ!『え!? 将棋の観戦チケットが6900円!?』ってビックリして! しかもそのチケットが瞬殺で!!

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桑高:
 そうでしたね。特に藤井さんが出場する日は、毎年すごい争奪戦になっていたんです。だから『もう客席を増やすしかない!』と。

──それでも完売だったんですか?

桑高:
 やっぱり完売でした。でもキャパの半分しか席を用意しなかったわけですからね。

──藤井先生が出てこられてから、イベント集客という面では大きく状況が変わりましたか?

桑高:
 実際問題として、藤井さんが来られる前は……有料とはいっても、そんなに高額ではなかったんです。そこは需要と供給のバランスで……。

──そもそも将棋のイベントにそんなにお金を払うという文化が定着していなかったじゃないですか。以前は。そこでいきなり高額なチケットを用意するというのは……値決めという点では悩まれたのでは?

桑高:
 そうではあるんですが、徐々に業界全体が……たとえば囲碁将棋チャンネルさんが名古屋でやられた将棋プレミアムの。

──ヒルトンでやった『将棋プレミアムフェスin名古屋』ですね。S席は何と3万5000円!!(その翌年はSS席10万円も用意して完売!)

桑高:
 あれがやっぱり、相当な……挑戦的なお値段で。そういう例もありますし、我々は我々で、これくらいの値段で……と。それでもその日のうちに完売という状況ですから、今後も考えていかないとと思っています。

──贅沢な悩みですね(笑)。

桑高:
 値段の付け方は会場費や運営費、感染症対策費などとの兼ね合いもあるので、そこをどうするかは、毎年悩ましいです。

──この1年、コロナ禍によって多くのご経験をなさったと思います。そんな桑高さんが考えられる感染症対策で最も重要なこととは、何でしょう?

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