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将棋名人戦開催の舞台裏──「コロナの影響は?」「開催地はどうやって決めてるの?」朝日新聞社の”中の人”にタイトル戦運営の裏側を聞いてみた

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genre : ライフ, 娯楽

note

──ファンとしても、名人戦以外にも何か盛り上がっているものがあれば、そこへ行く楽しみも増えますしね!

コロナ禍で名人戦延期! その舞台裏

──ではいよいよ、コロナ禍のところにお話を移したいのですが……。

桑高:
 はい。

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──昨年の名人戦は、とにかく衝撃的でした。我々ファンにとってもですし、対局者も……たとえば渡辺明名人はブログでその当時のお気持ちを綴っておられますが、かなり動揺しておられたことが伝わってきます。

桑高:
 そうですね。いきなり延期となりましたから。

※朝日新聞デジタル「将棋名人戦、開幕延期が決定 新型コロナ感染拡大を受け」2020年4月6日掲載。

──延期、というご判断を下されたのは、どういう理由からでしょうか?

桑高:
 一番大きかったのは緊急事態宣言です。4月に入ってすぐに『宣言が出そうだ』ということになって……我々も直ちに会議を行ったんです。

──はい。

桑高:
 『人が集まって会議をしてもいいのか?』ということもあったんですが……あのときは、何が怖いのかがわからないわけです。今でこそ、食事をすることが危険だとか、窓を開けましょうとか、そういった指針があるわけですが……当時はもう『電車に乗ることすらダメなんじゃないの?』と。

──移動することも憚られる雰囲気はありましたね。とにかく家にいろ、と。

桑高:
 空気感染するかもしれないとか、様々な情報が錯綜していて、大変でした。あの時点では、椿山荘で行われる第1局が目前に迫っていて。

──延期の決定は4月6日(月曜日)に下され、第1局は8日(水曜日)開幕予定。まさにその週に行われる、という状況です。

桑高:
 その対局をやるかどうか、という判断です。だからまず、緊急事態宣言が出ている東京でやるのは、やめましょうと。

──名人戦実行委員会がそう決めたわけですね。

桑高:
 実行委員会で話し合う前に、それぞれの社内で検討は行われていて、その結論を述べ合ったということですね。