──私、今までいろんな前夜祭に行ってきたんですが……地元の方々の結束力が強ければ強いほど、他の地方から来た将棋ファンがぽつんとなってしまう現象を目の当たりにしてきまして……指定席は本当に、結婚式みたいに人間関係も把握して配置しないと、相当難しいんじゃないかと……。
桑高:
そうですよね。しかしそれをたとえば名人戦で7局分やれるかというと、そこだけに注力するわけにはいかなくて。他にも考えなきゃいけないことは山ほどありますから……。
──それこそ朝日新聞さんが、椿山荘を運営する藤田観光さんの苦境をスクープしておられましたが……本当に、いつどんなトラブルが発生するかわからないような状況ですもんね……。
桑高:
そうですね。特に、去年と今年は……宿泊業界では東京五輪の開催を見越して、キャパを増やそうと投資しておられたところもあるんです。
──そこも経営を圧迫する要因になっていたりするんですね……。
桑高:
我々も何とかお手伝いできればいいんですが……弊社も苦しい状況です。だから身の丈に合ったイベント運営をしていかなければいけないな、と思っています。
──様々な意味で、持続可能な棋戦運営を探っていく必要があるんですね。
なぜ技術系社員が囲碁将棋に関わろうと思ったのか?
──それではここで、どうして桑高さんが囲碁将棋に関わることになったのかをおうかがいしたいと思います。最初から企画部にいらっしゃったわけではないんですよね?
桑高:
そうですね。入社したのは、技術職としてなんです。
──技術職?
桑高:
技術者の枠には、いろいろあるんです。たとえば印刷機を扱ったり、編集システムを作ったり。それ以外にもいろんなシステムがあるんですが、私の場合はその中でも社内の経理システムとか人事とか。いわゆる『管理』に関するものですね。
──へぇぇ~!
桑高:
今でこそ様々なパッケージが……たとえばサイボウズさんとかありますが、そういうのを自社で作っていた時代でした。IBMのサーバー室に入って作業する……みたいなことをやったりしていたんですよ。