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将棋名人戦開催の舞台裏──「コロナの影響は?」「開催地はどうやって決めてるの?」朝日新聞社の”中の人”にタイトル戦運営の裏側を聞いてみた

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genre : ライフ, 娯楽

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──十五年くらいやってても、そこをどうにかするのは難しかったと。

桑高:
 それに大盤解説会というのは、棋士の方々にやっていただいている世界ですから。我々から口を出すのは……。

──はばかられますか。

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桑高:
 『こんな感じでお願いできますか?』と方向性を示すことはできるんですが……『そうは言ってもねぇ』となることもあります……。

──私は囲碁のイベントにお邪魔したことはないんですが、大盤解説はたまにネットで拝見しています。けっこう将棋とは雰囲気が違うんだな、と感じました。

桑高:
 でもトークは両方とも面白いですよね!

──そこは異論がありません(笑)。

ネット時代を先取りしていた朝日杯

──これまで企画してこられた中で、これはいい企画だったというものはありますか?

桑高:
 成功例というと、やはり朝日杯ですね。私が入ったのはちょうど『朝日オープン将棋選手権』の最後の年で。

──当時は準タイトル戦という扱いで、決勝は五番勝負でした。藤井二冠の師匠である杉本昌隆八段が決勝まで進んだこともありましたね。

桑高:
 当時の棋戦は、長時間しっかり戦うものがメインでした。しかし朝日杯をリニューアルした頃って、ちょうど棋譜中継の黎明期でもあったんです。

──『日本将棋連盟モバイル』が2010年からですが、それより前に朝日杯は2次予選から全局ネット中継という革新的な試みをしていらっしゃいました。

桑高:
 これからは確実にネット中継が盛り上がるだろうと。だから『ネットで見ていて楽しい棋戦』というのが、朝日杯のコンセプトになりました。

──当時すでにネットでの盛り上がりを想定していたんですか!? そういえば昔の朝日杯の観戦記って、無料で全文読めましたよね。

桑高:
 そうです。紙面に掲載する観戦記は、順位戦と名人戦のものがありました。となると朝日杯はネットで掲載しようと。ネットで中継が楽しめるものとなると、やはり持ち時間は短い方がいい。

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