菅首相から受け継がれる「芸風」
でも「威嚇」は西村さんだけでしょうか。※参考・西村さんは「お願い」をしただけと言ってます。
たとえば高齢者ワクチン接種。自治体側からだとどう見えたか。
《関東地方の市長の元にも、総務省の複数の職員から電話が来た。(中略)県から「7月中に終えられないのか」とただされた。前後して、地元選出の自民党国会議員からも、せかす電話が入る。》(中日新聞WEB・5月16日)
これも「お願い」を装った「威嚇」にみえます。
そして今回、河野大臣は一部の自治体に対してワクチン接種のペースを抑えるよう求めた。あれだけ強く尻を叩いて「お願い」をしてきたのにヤバくなると自治体のせい?
とにかく政府から各方面に伝わってくるのは威嚇であり圧力だ。
そういえばワニ動画が大好きな平井卓也デジタル改革相は「徹底的に干す」「脅しておいて」と指示していた音声が暴露された。まさに威嚇、圧力そのものです。
その後もワニ大臣のネタは文春で続々と報じられているのですが(大谷翔平のホームランペース並み)、他の大臣の威嚇案件がすごすぎてうっかりワニが隠れている状況は凄い。まるで閣僚による威嚇のホームラン競争みたいな展開です。
これはやはり閣僚の“飼い主”に問題があるからではないか。
菅首相は自著『政治家の覚悟』では《「いいから、代えるんだ」と押し切りました。》など強い振る舞いの自慢がやたら多かった。威嚇の真打と言っていい。「有観客」へのこだわりでも可視化されたのは強引な体質である。その芸風が菅政権の閣僚である西村氏や河野氏、平井氏にも順調に受け継がれているだけなのかもしれない。
このまま五輪開催という「本土決戦」に突入するのか
東京新聞「こちら特報部」(7月9日)のデスクメモが次のように書いていた。
《そもそも「コロナに打ち勝った証しとしての東京五輪」など誰も求めていなかったが、それでも自ら「勝ち負け」を口にした以上、勝敗は問われる。》
そして、
《緊急事態宣言発令に至った今の状況は、はっきり「負け」だ。敗軍の将が居座ったまま、五輪開催という「本土決戦」に突入するのか。》
敗軍の将が居座ったままにするにはどうしたらよいか。「あったものを、なかったものにする」しかない。そういえば菅首相は今回の西村発言を「承知していない」とさっそく言っていた。これまでよく見た風景がまた繰り返されているのだ。菅首相の会見は面白かったと言いましたが、ここだけは笑わないようにします。