私よりずっと上手い棋士、女流棋士はいます
――声量もあり上手で、PVもできました。練習されましたか。
加藤 お話をいただいてレコーディングまで1カ月で、その間にボイストレーニングに通いました。たまたま自宅の近くにあったんです。大会当日は、受付から開会式までテーマソングがずっとかかっていて、指導対局に来場した八代さん(弥七段)には「桃ちゃん歌ってるじゃん!」「上手い」とか、やいやい言われました。
でも、私よりずっと上手い棋士、女流棋士はいます。カラオケで有名な青嶋さん(未来六段)は本当に高得点を連発しますし、沙恵ちゃんも上手。「いきものがかり」を歌う沙恵ちゃんの美声を皆さんにお聞かせしたいです。八代さんは盛り上げ上手。コロナでカラオケに行けなくなって残念です。
持ち時間も4時間と長いので、しっかり使い切れるように
――最後に清麗戦のことを聞かせてください。挑戦者決定戦の相手は、鈴木環那女流三段でした。ブログに「自分はヒール」と書いていらっしゃいました。
加藤 鈴木さんが実力をつけているのはすごいと思っていたし、応援する声が多いのは感じていました。鈴木さんのタイトル初挑戦がかかっていましたからね。室谷さん(由紀女流三段)の初タイトルがかかった2016年のマイナビ女子オープンのときもそうでしたから、「初」がかかると、こちらはヒールになってしまいがちです。
――鈴木女流三段を応援する声が多いと感じたのはSNSなどネットですか。
加藤 そうですね。いろいろファンの方の空気を感じやすいのは悪いことではないですが、Twitterとかでダメージを食らうこともあります(笑)。自分がどうしたいかをしっかり持つのが大事。相手に応援が多いのは、それだけ自分が強いと認められていると思うことにしています。
――9月23日から始まる清麗戦五番勝負では、里見女流四冠に挑戦します。今は西山女流三冠と2人で女流タイトルをすべて持っていて2強と言われています。
加藤 2年前、女流棋士になったときの目標はタイトルをとることでした。私の場合、女流三段でデビューしましたが、奨励会時代のタイトル8期はもうカウントされず、女流四段になるためには、これからタイトル3期獲得が必要です(※女流四段昇段条件にタイトル3期がある)。いつまでも2強のままではダメですよね。私が崩せたらと思っています。里見さんとは、その前に他の棋戦でも2回当たります。勝負はそこから始まるので、それを含めて作戦を考えないといけません。持ち時間も4時間と長いので、しっかり使い切れるように頑張りたいと思います。
写真=山元茂樹/文藝春秋
INFORMATION
加藤桃子女流三段から頂戴した「光風霽月」と揮毫された色紙を1名様にプレゼントします。
プレゼントを希望される方は、文春将棋のTwitterアカウントをフォローした上で、こちらのツイートをリツイートしてください(※応募〆切は、9月15日23:59まで)。厳正な抽選を行った上で、当選者にはDMでご連絡を差し上げます。