YouTubeで授業を公開するなどして受験生や学生・生徒たちを虜にしていく「教育系YouTuber」と呼ばれるインフルエンサーが活躍する昨今。彼らの多くが無料で授業動画を公開しており、受験生はどこにいても自分の好きなタイミングで授業動画を視聴することができる。私が受験生だった十数年前と比較してみても、現在の受験生は恵まれた環境に置かれていると言えるだろう。

 だが、一方でその弊害とも言うべき事態を耳にすることも少なくない。

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「YouTubeで勉強しているから授業は聞かなくても良い」

 先日、知人の中学校教員からこのような相談を受けた。

「授業中にこちらの説明を聞かない生徒がいたので授業後に話を聞いてみたところ、『●●(教育系YouTuber)の動画で見たから聞く必要がない』と言われた」

「直接は言われなくとも、自分の授業よりYouTuberの方が信用できるというような話を生徒たちがしているのも知っている。どうしたら良いか悩んでいる」

 私はその知人の実際の指導現場を見ていないため、あくまで一般論にはなるが、比較された上で見切りをつけられてしまっている現状を変えるためには、YouTuberに負けないだけの指導力を習得しなければならないのは間違いない。

 実際、現場の教師や講師よりもわかりやすく感じるケースはあるだろうし、見ていて「魅せ方」という点において本当に上手だと感じる教育系YouTuberも存在する。我々現場の講師たちが彼らから学ばなければならない部分も大きいだろう。

 この知人の経験と同様のことは塾や予備校の現場でも起こっている。ある事項を説明した際に、時として「YouTubeではこんな風に説明されていたのだが、この考え方ではいけないのか」という質問を受けることがあるようだ。

 単純に「この考え方も許容されるのか」という純粋な疑問としてなら良いが、あたかもYouTubeの方が正しく、講師の説明は間違っているかのような、ある種攻撃的な姿勢で質問に来ることもしばしばある。