「怖さもありました」芸能界復帰時に感じていた不安
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キャンディーズ解散後の80年2月、蘭さんは約2年ぶりに芸能界復帰を果たす。だが、歌の世界ではなく、女優としてリスタートを切った。この時、蘭さんは、「怖さ」を感じていたという。解散したのに、なぜ芸能界に戻って来たのか。今の時代ならSNSでいろんな声が飛び交っただろうが、当時もそういう声が聞こえてきた。
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――芸能界復帰に向けて、応援の声だけではなかったのですか。
伊藤 再スタートする際、記者会見を開いたんですけど、「なんで戻って来たんですか」みたいに聞かれたんですね。そういう声はあるだろうなって思っていましたし、私自身、お芝居の世界での復帰でしたので、ちゃんとやれるのか、という怖さもありました。
ただ、当時は歌手として復帰するという選択肢はなかったですね。芸能界に戻れる可能性があるなら新しいことをやりたい、という思いがありましたから。
2019年にソロデビューアルバムをリリースした経緯
――その後、女優としての活動を40年以上続けるなかで、2019年5月にソロデビューアルバム『My Bouquet』をリリースします。
伊藤 キャンディーズを解散した後、女優と子育てをやってきて、「そうだ、私って自分だけの歌を持っていないな」と思ったんです。そんな時、アルバム制作のお声掛けをいただいて。年齢的にも最後のチャンスかなと思って、ソロとしてやることを決めました。
――昨年はデビュー50周年ということで、7月に3枚目のソロアルバム『LEVEL9.9』をリリースして、8月には記念ツアーを全国6都市で開催。ソロ曲とキャンディーズ時代のヒット曲を絡めたライブは、すごい熱気でした。東京国際フォーラムで行われた50周年のスペシャルステージも、セットリストが完璧だと思いました。
伊藤 あれは、解散コンサートの時のセットリストからの抜粋でした。当時、来られなかったファンの方もたくさんいらしたので、少しでも雰囲気を味わって頂けたらと思って。
キャンディーズの世界観を壊さないよう、コーラスの方々にもカバーしてもらいながら歌うことができましたし、ファンのみなさんの反応を見ているとすごく喜んでもらえているようでしたので、これからもソロ曲と同様に大事に歌っていけたらと思っています。
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昔のように7色の紙テープが乱れ飛ぶことはなかったが、多くのペンライトが揺れる会場の熱気は、あの頃のキャンディーズのコンサートと変わらなかった。今はもう3人でのキャンディーズは見られないが、蘭さんが歌う限り、ファンはいつまでも「微笑がえし」で応えるだろう。
写真=杉山秀樹/文藝春秋
ヘアメイク=平笑美子
スタイリスト=岡本純子
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