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横浜を離れても責める気になれなかった

 しかしウッチーが打ちまくる度に暗く沈むチーム状況とのコントラストが鮮明になっていく。WBCでも打撃好調。ファインプレーで世界一の立役者になった。なのに日本に戻ればチームは相変わらず。テレビ画面を通じてもウッチーの苛立ちは伺えたし、映像で本人が述べた通り「思っていたことは全部言っていた」のだろう。08年から3年連続3割を打ちながら、チームは毎年90敗していた。

 勝ちに飢えたウッチーが横浜を離れても、彼を責める気になんかならなかった。移籍1年目、いきなり首位打者を獲って日本一に輝いたウッチーの喜ぶ様子を見て本当に嬉しかった。先日の通算2千安打だって、名球会入りを果たした松原や平松、佐々木、石井琢、駒田らと一緒にウッチーのプレートもハマスタに飾ってほしいくらいだ。映像でも「ハマスタは第2の故郷のようなもの」と語ったウッチーは、膨大なヒット数のうち945安打をベイスターズで放った。それはあのどうにもならない時代のチームの、数少ない希望だったのだから。

「ハマスタは第2の故郷のようなもの」と語った内川聖一 ©文藝春秋

 ウッチーが横浜にいた軌跡は、意外なところに残っている。アイドルグループ・東京女子流の代表曲のひとつ『頑張って いつだって 信じてる』はベイスターズ時代の応援歌が原曲となっており、元を辿ればベイスターズ初年度の高木豊のもの。そして2千安打達成の当日、メンバーの新井ひとみさんはこんな祝福ツイートを残した。

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 内川聖一選手、2千安打達成おめでとうございます。そして横浜のためにコメントを残してくれて、本当にありがとう。

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