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断崖直下に待っていた城内一の見どころ
三の丸まで引き返し、逆側の斜面へと小道を降りてゆく。足元は悪く断崖っぷりもスゴい。
そして小道を降りきると、この城で最大の驚きが待ち構えていた。
岩壁に掘られた巨大な井戸。斜面、いや断崖は井戸のあたりだけ黒々とした岩盤になっていて、今も絶え間なく清水が染み出している。実は縄張図にあった「井戸」の文字を目当てにくだってきたのだが、まさかこれほどとは想像していなかった。
はるか十数メートル頭上は二の丸だろう。角度もかなり急なので、滑車と縄と釣瓶を組み合わせて上から直接汲み上げたりしていたのだろうか。想像がふくらむ。
それにしても、あまりに見事な井戸だ。岩盤に抱かれたたっぷりの水量といい、崖っぷち直下のロケーションといい。岩肌から滲み出る清水がまた、いい。
いぶし銀の美濃三人衆の一人、稲葉良通。揖斐城は息子・貞通が城主だった時期があるとか。ということは攻め落とした父・良通が改修した可能性は十分ある。目にしてきた遺構の一部はその名残なのだろうか。そうすると2度目の城攻めの際は、自らとも戦っていたのかもしれない──。
そんなことを脳内で反芻しながら、下山の途についた。
写真=今泉慎一


