「亡国の外務省」徹底批判

北朝鮮拉致、慰安婦、尖閣問題――なぜいつも失敗するのか

櫻井 よしこ ジャーナリスト
ニュース 政治 国際 韓国・北朝鮮

外交は“気取った友達付き合い”ではない。交渉と称する譲歩で国益を失ってはならない

櫻井よしこ氏 ©文藝春秋

 十数年前、ある外交官と会食をする機会を得た。指定されたのは、都内最高級ホテルのひとつだった。知人の学者と一緒に行ってみると、会合の場は立派な個室で、お昼からフルコースが待っていた。外交官の彼は注文した白ワインを試飲して、ボーイにこう命じた。

「あと六分、冷やして」

 なぜ、日本の外交官はかくも気取るのだろう。仕事柄これまでに多くの国の優秀な外交官と会ってきたが、彼らは相手への配慮と同時に、むしろ骨太さを感じさせる。

 外務省主導の今回の訪朝団の不甲斐ない結果を見て、わが国の外交官は大丈夫かと思わせられ、つい、つまらない話を思い出した。

 十月二十七日、政府の拉致被害者再調査のための訪朝団が北朝鮮・平壌の地を踏んだ。交渉を途切れさせないことが主目的になったかのような訪朝には既視感と疑問がつきまとう。それでも、被害者救出に向けて一歩でも新しい展開があってほしいとの思いで結果を待った。

 しかし結果は、北朝鮮側から遺骨収集、日本人妻の帰国については積極的な報告はあったものの、肝心の拉致問題では「一刻も早く結果の通報を」と日本側が求めるにとどまった。残念だが予想通りだった。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

「文藝春秋電子版」は雑誌付きプランが断然お得!! 電子版分は実質無料 今すぐお申し込み

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2014年12月号

genre : ニュース 政治 国際 韓国・北朝鮮