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桜田義孝大臣は「認知バイアス」の教科書のような存在だ

根拠がないのに強気になれる理由とは?

2018/12/26

「自分でパソコンを打つということはありません」

 桜田大臣のこの後の展開は、言うに及ばず。東京五輪の大会ビジョンやらコンセプトやらを、まともに答えることができずしどろもどろな答弁が続き、東京五輪に関する政府支出(1500億円)を「1500円」と述べ、さらには蓮舫議員の名前も間違った。大きなハンカチで顔を拭うほど汗だくになり、自尊心はズタズタだろう。

 結果がダメだとわかると、それに固執したり、むきになって正当化しようとする傾向が非合理的エスカレーションである。

「質問の事前通告がなかった」

 ちぐはぐ答弁を繰り返したものの、自分を正当化したい桜田大臣は事前通告にこだわり、不満をもらした。蓮舫議員の反論を受けて発言を撤回した時も、「問い合わせ不可」だったと不満をもらし謝罪せず。最後は名前の呼び間違いを認めて謝罪したが、やはり不満気な口調だった。

 だがここで、11月14日の衆議院内閣委員会での発言が再び注目を集める。

「自分でパソコンを打つということはありません」

 USBポートについて問われると、「仮にあったとしても」と知識不足が露呈。セキュリティー担当大臣の一連の発言は、世間の度肝を抜いたばかりか、世界のメディアの失笑を買う。

参院内閣委員会で答弁する、桜田義孝五輪相 ©AFLO

失笑なんてなんのその

 ところが、人間には肯定的幻想というバイアスもある。自分自身を肯定的に見ることで、自尊感情が高まり、満足感が増す傾向である。世界の注目を集めることになった桜田大臣はこう発言した。

「世界に私の名前が知られたかなと思って。いいか悪いかは別として有名になったのではないか」

 名前や存在を知られなければ議員にすらなれない政治の世界。失笑なんてなんのその、世界的に有名になったことが重要だ。こうなると桜田氏の肯定的幻想はさらに大きく膨らんでいく。自分の能力や成功の可能性、状況把握度を過大に評価したり、自分は他人よりもよくできる、うまくやれると思い込んだりする傾向を増大させる。

「判断力は抜群だと思っております。能力に疑いは持っておりません」

 11月21日の衆議院内閣委員会で、桜田大臣は語気を強めてこう言い切った。