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2014年の衆院選の応援演説での発言

麻生太郎 副総理兼財務相
「高齢者が悪いというイメージをつくっている人が多いが、(女性が)子どもを産まないのが問題だ」

BuzzFeed News 2月4日

 2014年の衆院選の応援演説で、麻生氏はこのように発言していた。やはり社会保障費に絡んだ発言で、内容もまったく一緒。このときも「誤解を招いた」と釈明し、「経済的事情で産めない方々は放置できる話ではない。政府として対応し、そうした方向で予算編成もしている」と強調した(産経ニュース 2014年12月9日)。

©文藝春秋

 では、「政府として対応」した結果はどうだったのか。安倍晋三首相は今年1月28日の施政方針演説で「この6年間、三本の矢を放ち、経済は10%以上成長しました」「この成長の果実を、新三本の矢によって、子育て支援をはじめ現役世代へと大胆に振り向けてきました」と語っていたが、依然として出生率は下がり続けている。厚生労働省による「毎月勤労統計」に大規模な不正が見つかったことで、安倍首相が語った「経済は10%以上成長しました」という言葉もうのみにできなくなった。

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 時事芸人でコラムニストのプチ鹿島氏は「麻生氏だけではなく社会も変わっていないことがわかるではないか。5年間の政治の効果がなかったことがわかる」と指摘している(スポーツ報知 2月11日)。

民主党政権誕生を手伝った、首相在任時の珍言

麻生太郎 副総理兼財務相
「そりゃ金がねえなら結婚しない方がいい。うかつにそんなことはしない方がいい」

AFP BB NEWS 2009年8月24日

 首相在任中の09年には、学生との対話集会での席上でこのような発言をして批判された。学生から、若者に結婚資金がないことが少子化につながっているのではないかと問われたことに対して答えたもの。そのあたりのオッサンが言うならともかく、不況と就職難の対策を打つべき一国の首相がこんな無責任なことを言い放っていていいわけがない。

©文藝春秋

 このときは「稼ぎが全然なくて尊敬の対象になるかというと、なかなか難しいんじゃないか」とも語っているが、これは男性が稼ぎ、女性の尊敬の対象になるという麻生氏の家庭観がストレートに出ている。

 河村建夫官房長官(当時)は「若者の就職対策を進めなくてはいけないという思いが、表現として出たのではないか」と麻生氏を擁護したが、この人はずっとこんな火消しばかりやっている。この発言の1週間後に行われた衆院選で自民党は歴史的な敗北を喫し、麻生氏は首相を辞任。民主党政権誕生のきっかけを作った。