「疲れは取れるか?」蹴球部の学生で実験
筑波大学大学院の人間総合科学研究科スポーツ医学専攻・宮川俊平教授は、疲労と水素の関係を実験した。3カ月間、蹴球部の10人の学生に、練習前日の夜に500ミリリットル、朝起きた直後に500ミリリットル、朝の練習の直前に500ミリリットルの計1.5リットルの水素水を摂取させ、運動後に検査をする実験である。宮川教授が言う。
「練習ではバイクマシンによる自転車こぎの後に、座った姿勢で足首に負荷をかけて膝を伸ばし、大腿四頭筋(膝を伸ばす筋肉)を鍛える運動を100回やってもらいました。
その結果、水素水を飲んだ学生の方が、ただの水を飲んでいた学生よりも乳酸の上昇が抑えられていたのです。学生は何を飲んでいるかわからないダブルブラインド方式です。
また、筋電図を周波数解析したところ、大腿四頭筋の筋疲労が抑えられた結果も出ました」
水素を摂取した人に多い「疲れが取れた」という感想が、実証されたのだ。
老化物質である“悪玉”活性酸素を消す
では、なぜ水素によって、こうした様々な現象が起きるのか。太田教授がメカニズムを解説する。
「水素が体にいい理由の一つは、活性酸素の害がなくなるからです。活性酸素は身体の細胞内にあり、細胞にダメージを与えている。これがなくなり、細胞の代謝がよくなるのです」
普通、呼吸した酸素の約1~2%から、副次的に活性酸素が生み出される。この作用により、人間は1日10万カ所のDNAが自然に壊れる。が、ほぼ同数が再生される。活性酸素の中で、「ヒドロキシルラジカル」という成分が、「悪玉」といわれ、人間を酸化、つまり老化させる。水素はこの悪玉だけを選んで、化学反応で消滅させるのだ。
「今、研究者たちの間で言われているのは、期待以上の効果がありすぎることです。なぜこんなに効果があるのか不思議で、まだまだ解明すべきことはたくさんあります」(同前)
(後編へ続く)
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