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2019/10/21

接遇を担える男性皇族が秋篠宮さま1人しかいない

 儀式の簡素化と両陛下の負担軽減は、皇族が減っている実情と裏腹の関係にある。たとえば今回、来日する外国の王室に対して、男性皇族による出迎えと見送りを実施しないことになった。

 前回は男性皇族が単独あるいは夫妻で26カ国の国王らを空港やホテルで出迎え、帰国時には27カ国の国王らを見送った。当時は成年の男性皇族が7人おり、このうち高齢や療養中の方を除く皇太子時代の陛下と秋篠宮さま、常陸宮さま、三笠宮寛仁さま(故人)、高円宮さま(同)の5人が単独もしくは夫妻で接遇を担った。しかし現在、対応できる皇族は秋篠宮さま1人で、とても不可能だ。

前回(1990年)と比べると、男性皇族が激減している ©getty

 また前回は初日晩餐会の翌日、天皇だった上皇さまと美智子さまが元首の国王・大統領を、皇太子だった陛下が王族を、それぞれの住まいに招いて茶会を催した。男女の成年皇族も分かれて出席した。しかし今回はそれだけのゆとりがないため、両陛下主催の午後の茶会に一本化する。

日韓首脳会談で伝達される“文在寅大統領の親書”の中身は?

 ただ外国の賓客に対する、皇室と首相による接遇という、二段構えのもてなしの慣行は今回もはずさない。初日の宮中晩餐会の翌日(23日)、安倍首相夫妻は都内のホテルに外国の賓客を招いて晩餐会を開く。食事の前には、歌舞伎の「根元草摺引(こんげんくさずりびき)」、能「石橋(しゃっきょう)」、文楽の「三番叟」など、日本の伝統芸能も解説付きで披露される。

「即位の礼外交」も活発に行われるはずだ。前回はイラクがクウェートに侵攻(90年8月)した湾岸危機のさなかで、米国のクウェール副大統領、ソ連のルキヤノフ最高会議議長などを中心に多角的な接触が行われた。また中韓の国交回復前で、韓国の姜英勲首相は中国の呉学謙副首相と会い、両国間の交流を進めていくことで一致している。両国の首脳レベルでの接触は初めてだった。

安倍晋三首相 ©JMPA

 今回はトルコによるシリア国内のクルド人攻撃や、サウジアラビアの油田施設攻撃など、中東情勢が緊迫しているさなかで、即位の礼に参列予定だったトルコのエルドアン大統領、米国のペンス副大統領が来日をキャンセルした。しかし来日した各国首脳らにとっては多国間外交の格好の機会で、米中貿易摩擦、北朝鮮の核問題などを巡りさまざまな接触が行われるとみられる。

 日韓の接触も一つの焦点だ。即位の礼に参列する韓国の李洛淵首相は、安倍首相との首脳会談で文在寅大統領の親書を伝達すると言われている。親書は文書でなく口頭の可能性もある。ただ強制徴用問題など懸案を巡る両国の隔たりは依然大きく、今後の安倍・文の首脳会談に向けた環境整備になるかどうかが注目される。

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