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「やっぱり私に悪いところがあったのかなあ」

 妻は明らかに寝られなくなり、仕事も手につかない様子でした。家でも「やっぱり私に悪いところがあったのかなあ」と度々つぶやきました。僕はそのつど「君は悪くない」と伝えました。そして妻をハグし、「大丈夫だよ」と声をかけました。

 年末に記事が出ると、しばらく妻は精神的に不安定でした。ネットに書き込まれる反応をみて、励まされたりしょげたりしていました。僕は「大丈夫だよ」と言い続けました。

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 夫婦や恋人同士の片方がもう片方の性被害について知ったとき、ショックの大きさに耐え切れなかったり、相手を責めてしまったりし、離婚や破局を迎える不幸なケースは珍しくない。そうなることを恐れ、性被害に遭っても自分の中に封じ込めたまま、尊厳の回復も加害者の責任追及もあきらめる人は少なくないだろう。

 反対に、もし性被害に遭ったことがわかっても2人の関係が崩壊に至らないのであれば、被害者は被害を訴え出やすいはずだ。

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夫婦の関係は変わったか

 僕ら夫婦の関係は変わったか、ですか? うーん、妻はいまも被害の影響で気持ちが揺れるので、出張を減らすなどして、できるだけ一緒にいるようにしています。妻に心細い思いをさせたくないという気持ちが強くなりましたね。それが一番の変化でしょうか。

「DAYS」最終号

 妻の性被害がわだかまりになっていることはありません。彼女の身に起きたのは、有名フォトジャーナリストとジャーナリスト志望のアルバイト学生という、極端に不均衡な力関係を利用したレイプだったと思っています。ですから、妻に落ち度があったとは思っていませんし、責める気持ちもありません。

 僕らのセックスへの影響はないと思います。あえて言えば、妻のことをより慈しむようにセックスをするようになった気がします。大丈夫、自分が汚らわしいなんて思わなくていいんだよ、と思いながら触れ合う感じです。

 3月に月刊誌「創」に出た彼の手記(「続く」としていたが翌月号では広河氏の申し出を理由に掲載なし)や、DAYS最終号に書かれていた彼の言葉を読みました。性暴力やセクハラにとどまらず、人権や人間の尊厳といった根本的なことをわかっていない、ダメな人だなと軽蔑しています。

 もちろん、怒りがゼロになったわけではありません。いま彼と道で出くわしたら、ぶん殴ってしまうかもしれませんね。でも、おそらくそうはしないと思います。そのエネルギーをあんな男に使うのはもったいないですから。