「週刊文春」に掲載されたライター・田村栄治氏の記事により明るみに出たフォトジャーナリスト・広河隆一氏のセクハラ、パワハラ問題。12月27日、検証委員会の報告書が自身が発行人を務めていた「DAYS JAPAN」のウェブサイトで公開された。報告書は、広河氏による性被害やセクハラ、パワハラが多数あったことを認定。検証委員会に寄せられた証言に基づき、報告書にまとめられたセクハラ被害(2004-2017年)は以下の通り。
・性交の強要 3人
・性交には至らない性的身体的接触 2人
・裸の写真の撮影 4人
・言葉によるセクシャルハラスメント(性的関係に誘われる等)7人
・環境型セクシャルハラスメント(AVを社員が見える場所に置く)1人
また、報告書では広河氏のパワハラ行為についても分析している。
広河氏の所業を「週刊文春」に告発した被害者のうち、唯一取材に付き添った夫のインタビューを掲載した2019年5月16日号の記事を再編集の上、公開する。なお、記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のまま。
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自分の妻が「性被害」に遭ったと知ったとき、あなたならどうするだろうか。「週刊文春」が報じた広河隆一氏(75)による女性たちに対する性暴力。8人の被害者の取材で唯一、女性に付き添った男性(30代)が妻の被害を知った時の衝撃と、こみ上げる怒りを明かした。(文・田村栄治)
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「ちょっと話があるんだけど……」と妻から言われたのは、去年9月の真夜中でした。寝る準備を済ませ、寝間着姿でベッドに横並びに腰掛けていたときのことです。ふだんあまり深刻な表情を見せない妻が、いまにも泣き出しそうな顔をしているのに驚きました。
じつは、妻がDAYS(広河隆一氏が2004年に創刊した月刊報道写真誌「DAYS JAPAN」。以下同)でセクハラを受けたらしいことは知っていました。妻と出会って10年ほどになりますが、結婚前、「あそこはセクハラがひどい!」と妻が声を荒げたことがあったからです。
ただ、具体的にどんな被害に遭ったのかは知らなかった。セクハラの話が出たときも、何があったのか聞くことはしませんでした。いま妻は元気なんだから、あえて掘り起こさなくていいじゃないか。そう思ってたんです。当時は妻に辛い思いをさせたくないという考えでしたが、いま思うと自分が嫌な気持ちになるのが怖かったんだと思います。
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ベッドの端に座って小刻みに体を震わせている妻の口から出てきたのは、衝撃的な内容だった。フォトジャーナリスト志望だった妻が、尊敬していた広河氏に「写真を教えてあげる」と言われてホテルに呼び出され、望まないセックスをさせられたこと。別の日、怒られた後に「わかりあうのが一番だ」と言われ、ホテルで再びセックスに及ばれたこと。いまその件で取材の申し込みを受けていて、迷っていること――。
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